哲学の道から眺める花火大会2012年06月03日

かがり火で赤く光るハイデルベルク城

やっぱりここからの眺めが最高。


今年も城のかがり火 Schlossbeleuchtung の日がやってきた。年に3回あるその今年1回目。


一昨年も去年も見たのだけど、今年は初めて哲学の道に陣取って眺めてみた。


始まりは22:00過ぎから。20:00過ぎに坂を登って場所を選ぶ。よし、ここでばっちり。


哲学の道から見た城

20:30頃にドイツの若い女性8人連れがやってきて、僕を囲むように座り込んで陣取りを始めた。知らない顔をしているのも居心地が悪いので、声をかける。管楽器をやっている人たちで、1人はここの人、残りはウルムから地元の人を訪ねてきて、2,3日観光して回ってきたところなんだそうだ。Sekt (シャンペン)やスナックを用意していて、花火待ちの陣取りというより、この夕べを楽しんでいる。


22:00前になると、あたりは暗くなってこんな感じ。


ハイデルベルク城22時

かがり火が始まった。城の上からこんな花火が上がったのは前はなかったような気がする。


城のかがり火

10分ばかり赤々と燃えた後、花火が始まった。15分弱、フルでお楽しみください。見どころは1分30秒頃から。



帰り道、真っ暗な哲学の道もやっぱり人で一杯だった。


冬の王ヘンリー7世2012年06月09日

でね、ヘンリー7世にはアーサーって長男が居るわけよ。できのよい。で、彼に後を継がせるようと思ってた。スペインから、キャサリンという王女を嫁に迎えて結婚式も挙げさせた。盛大な結婚式で、ロンドン中でお祝いした。1501年の秋のこと。


ところがアーサーはその翌年の春に突然死んでしまう。ヘンリー7世大ショック。


 Winter King: The Dawn of Tudor England by Thomas Penn
 冬の王 - テューダー朝のイギリスの始まり  トーマス・ペン著


ペーパーバック版表紙

ペーパーバック版裏表紙

何せ、ヘンリー7世には侮れない敵がいる。大陸にいるサフォーク伯エドモンド・ド・ラ・ポール。神聖ローマ皇帝マクシミリアンのバックアップを受けつつ、イギリス再上陸と王権奪取をずっと狙っている。


アーサーの弟のヘンリーはまだ10歳ぐらいでしかなくて、このヘンリーが万一死んでしまうと、その次の王位継承権はサフォークにある。


そもそも、ヘンリー7世自身が王位に就いた経緯は、サフォークのやろうとしてることとあまり違わない。彼も子供の頃はずっと大陸でブルターニュやフランスの庇護の下で過ごし、1485年にイギリス西海岸に上陸。ボズワースの戦いでの奇跡的勝利により、リチャード3世を倒して王になった。


あのう、この頃までのイギリスは、いわゆる薔薇戦争の時代で、白バラの紋章のヨークと赤バラの紋章のランカスターが内戦を続けていた。なので、王位は継承するものでなくて、強奪するもの、という雰囲気が当たり前になってて、ちょっとでも王位に就く権利がある人は、何かの拍子に「俺がなる」と言い出しかねない時代だった。


薔薇戦争は、ヨーク側のエドワード4世が勝って、けりがついたように見えていた。ところが、彼はまだ10代の息子二人を残して亡くなってしまい、そこで横入りして王になったのがリチャード3世。リチャード3世はエドワード4世の弟で側近だったんだけどね。


リチャード3世は兄の息子達二人をロンドン塔に閉じ込めた。その後の二人の消息は誰もしらない。はずだった。


ところが。ヘンリー7世が王になってから、「我こそはエドワード4世の息子」と名乗る青年が現れて、それを担いだ連中が反乱を起こした。しかも何度も。最初は二人のうちの兄と名乗るのが出てきて、この反乱は戦で打ち破られ、捕まえてみれば、この男は反乱軍によって仕立てられただけの真っ赤な偽物だった。で、次は弟だ、っていうのが出てきて、やっとそれを始末したと思ったら、リチャード3世から王位継承者に指名されていた、って触れ込みの少年を担いだ反乱まで起きた。これも偽物だったのだけど。


この辺、もしフィクションだったとしたら繰り返しが酷すぎる。ええかげんにせぇ、といいたい。史実なので仕方がないけど。


話をアーサーが死んじゃった後のヘンリー7世に戻すと、まずはアーサーがいないなら弟のヘンリーだ、と気を取り直し、更にその年の夏、王妃エリザベスがまた身ごもった。これでもう一人王子が生まれれば、随分安心できる。


出産の時期が近づくと、ロンドン塔に贅を尽くした出産のための部屋が用意された。助産婦その他のスタッフも取り揃えて万全の準備が施された。


にも関わらず、出産予定日よりも2週間早く、エリザベスは急に産気付き、ことはうまく運ばず母子ともに亡くなってしまう。1503年2月のこと。


ヘンリー7世とエリザベスは、まったくの政略結婚だったにも関わらず、随分仲がよかったらしい。アーサーに続き、エリザベスを失ったショックで、ヘンリー7世は引きこもり状態になり、さらに体調を崩して死線をさまよう…


が、これで死んでしまうようなタマではなかった。数々の悲運を乗り越えて、人間的に成長したりはちっともせずに、陰険で金にがめつい王としてロンドン、そしてイギリスを重苦しい雰囲気のもとに支配しつづけ、なんとか弟王子ヘンリーに王権を継がせることに成功する。


王子ヘンリーがヘンリー8世になったとき、「新王はイギリスに春をもたらす」と称えられた。だからヘンリー7世は冬の王。


リチャード3世もヘンリー8世もシェークスピアは劇にしているが、ヘンリー7世は飛ばされている。これは、ヘンリー7世の時代にドラマのネタがなかったからではなくて、むしろ暗いネタがありすぎてシャレにならないからだ、とこの本の著者は言ってる。


とりあえず。まだ最初の4割ぐらいしか読んでない。読み終わったら続き書くかも。


[2012年7月25日追記: 続き書きました。]


Stuttgart の 城前広場2012年06月12日

新城

Stuttgart もまだ街中には行ったことなかったのだった。 Mercedes-Benz 博物館や Porsche 博物館に行っただけで。


新城前の広場

上の写真二つは、新城前の Schlossplatz. 古城と新城はすぐ近くに立ってるのだけど、古城の方は見そびれた。この広場は塔有り噴水二つあり、あずまやありで、華やかでにぎやか。


中央駅を望む

この広場から Stuttgart 中央駅を見やったところ。真ん中の時計台みたいなのがそう。あずまやも右にうつってる。


塔と噴水

いやー広々として空気が爽やか。カフェの屋外席もたくさん並んでる。



で、少し回り込むと、 Obere Schlossgarten. うまい和訳が思いつかんなぁ。城の庭園の上側。右に映ってるのが新城。左の方のはオペラハウス。


で、この公園の向こうには Mittlere Schlossgarten がある。城の庭園の中ほど。そこへ向かう道は、車道を越える陸橋になっている。


陸橋

で、これを渡ると…あれっ?


工事中

全面的に工事中。これがあれか。世に聞く Stuttgart 21 駅周辺大規模再開発工事ってやつか。


心情的にはこれは反対派の気分が分かるなぁ。


スノー・ホワイトと女王の弟2012年06月16日

スノーホワイト

あ…た…らしい…声を失う程に、新しい。


 Snow White & The Huntsman (邦題:スノー・ホワイト)


タイトルからして白雪姫の話であることは明らか。ちゃんと白雪姫の主な要素はだいたい入ってます。なのにこの予想外さはどうだ。3分に1度驚いていたような気がする。


なので、驚いてみたい人には、この後何も読まずにまず見に行くことをお勧めします。


何を書いてもネタバレ。いいですか?



では、そろそろ。


何が驚いたって、主役の二人が日本人だとは。しかも狩人の 江口洋介 はまだしも、白雪姫が 小栗旬 なのはなぜだっ!


えっ、違う?えーっあれ違うの?クリステン・スチュワートって人なのか。知らなかったなぁ。よく見たら江口洋介もクリス・まいてぃーそー・ヘムズワースだった。


 俺の目は節穴だっ!(棒)


悪い女王=シャーリーズ・セロンは魔力が衰えるとどんどん年をとるって設定なんですが、少しだけ老けたときの様子がリアルすぎて、単にこれはすっぴんなんじゃないかと。


黒い羽をまとったシーンが多いので、ブラック・スワンを結構思い出します。


女王の城から逃げ出した白雪姫は、追っ手から逃げるうちに、ダークフォレスト=暗い森に迷い込みます。木の枝は動いて絡みつき、足元は抜かるんでずぶずぶで歩くこともできず、這いずり回ると目の前には怪しい虫の大群が…


ダークフォレストの怖さはあれだ、小さい子の目で見た東京ディズニーランドの白雪姫・ザ・ライドの怖さだ。あの乗り物は怖いので有名。童話がモチーフなのに、「小さいお子様には刺激が強すぎることがあります」、という趣旨の掲示がある。「ま、そうは言っても大丈夫だろ」とたかをくくってまだ小さかった娘たちを連れてったら大泣きしてしまったことがかつてあった…あれももう随分前のことだなぁ。


7人の小人に連れられて、やってきたのはサンクチュアリ(日本語字幕ではなんて訳してるかなー)、妖精が飛び交う、明るい日差しの森で、お、なんかキノコみたいなのが浮かんでる。こりゃぁ、惑星パンドラだなぁ。


とか思ってみていると、妖精が白雪姫を呼びに来る。白雪姫がついていってみると、なんと、


池の真ん中に神々しいニホンカモシカいやいやトナカイ?、という、もののけ姫のパクリむにゃむにゃむにゃリスペクトしたシーンが。


とっさに映画館のイスの上で固まってしまった。


白雪姫と狩人が森の中の橋を渡ろうとすると、そこに潜んでいたトロルに襲われる。


橋のそばにトロルが住んでいる、というのは、剣と魔法のファンタジーでは決まりごとなのだけど、あんまり他の映画でそういう場面を見たことがない。ので、このシーンはちょっと嬉しい。


狩人が戦うも歯が立たず、吹き飛ばされている間に白雪姫に迫るトロル。白雪姫危うし!


と思ったら、「グワーッ」とトロル顔負けのうなり声を挙げてトロルを威嚇する白雪姫。えーっ!?


白雪姫が「グワーッ」ですよ。


さらに、そのまま戦うのかと思ったら、あきれたトロルがリアクションを取りあぐねた挙句、手なずけられてしまう。


ナウシカとテトの出会いのシーンを思い出したりする。
「おいで、怖くない」ガブッ「!」「ほら、怖くない」
って、テトならいいけど、トロル相手にやると、ガブッのところでちょっと問題がおきますね。


で、色々あって、白雪姫は、狩人と、助けにきた幼馴染=公爵の息子に連れられて、もう少しで公爵の城にたどり着く、というところで毒リンゴをかじってしまい、死んでしまう。公爵の息子がキスをしても生き返らない。彼女の遺体は城に運ばれて、テーブルの上に安置される。


彼女の遺体の回りで一人語りを始める狩人ヘムズワース。あんまりセリフが聞き取れないのだけど、


「俺は、妻が死んでとても悲しかった。]
「悲しくて、もう俺なんかどうなってもいいと思った。」
「君にあってからだよ、また生きようと思ったのは。」
「なのに、また君も死んでしまうなんて」
とかなんとか言ったあげく、誰も見てないのをいいことに白雪姫にキスします。


げ、遺体にキスしてる、とか思って引いたのは私だけだろうか。


狩人が「じゃぁな」とか言って部屋を去った直後に、白雪姫は息を吹き返す。


吹き返した勢いで公爵の城の人々を焚きつけて、女王の城を攻めに行かせる。「私と共に戦うのは誰か!」雄叫ぶ白雪姫。歓声を上げて答える城の人々。


で、公爵、息子、その手勢と共に、女王の城に攻め寄ります。 甲冑を身にまとい、馬を駆って、敵の投石や矢をかいくぐって城門に突進する白雪姫、って…


バズーカ砲で戦う魔法少女並に違和感あるなぁ。


悪い女王を倒して、父王の城を取り戻し、戴冠して女王になる白雪姫。スター・ウォーズエピソードIVのラストシーンを思い出す。これがIVだとすると、狩人がハン・ソロで、公爵の息子がルークだなぁ。で、悪い女王が銀河皇帝で、その弟がダース・ベイダーか。ベイダーにしては弱すぎるけど…


それでも、一番面白い役をやってたのは、この弟君=フィンだと思います。白雪姫を城から取り逃がしたことを女王になじられて、涙目で「姉さんのために尽くしてきたのに!」と叫ぶ姿を見ると、同情を禁じえません。かと思うと、結構剣の立ち回りが強くて、狩人と互角以上に戦ったりする。あのう、ダイ・ハードの時のアラン・リックマンを思い出したりする。悪党面なのだけど、癖が強いので、アラン・リックマンなみにスターになれそうな気がします。


続編が見てみたいなぁ。


エマ・ストーン17才。2012年06月30日

いやー、2時間たっぷりエマ・ストーンを見てきました。どこから見ても可愛い。死角なし。


  Amazing Spider-Man (邦題:アメイジング・スパイダーマン)


主演のピーター・パーカーが想像していたよりお子様だったので、エマ・ストーンがかなり年上に見えるうにゃうにゃうにゃ大人びて見える、あ、ダメだどう言い換えてもまずい、というアクシデントはありましたが、可愛いには違いありません。相変わらず理知的な(ことになっている)役だし。


でも、部屋にピーターが来ているときに、「ココアいるかい」っと部屋の外まで明るく聞きに来た父ちゃんに向かって「ココアなんか飲まないっ」と言い捨てて追い返そうとするシーンで、ドサクサにまぎれて「私はもう17なの」とか言ってたのは無理があったむにゃむにゃ想定がよく分かる親切なセリフだったなぁ。


エマの話はこの辺でもしてます。
 エマ・ストーン
 ラブ・アゲイン


以下早速ネタバレ。







さてもういいかな。


あの片腕博士、もうちょっとアルジャーノンごっこを濃くしても良かったのでは。なかった右腕が遺伝子組替え薬で再生した直後のシーンは結構感動的。ただその後もう少しハッピーな日々を送ったほうが、副作用が出た時の悲劇性が増してよかったような気がする。いや、どうせそれじゃアルジャーノンごっこって言われちゃうとは思うけど。


警官に足を打たれて思うようにビル壁伝いに飛び歩けないスパイダーマン。この様子がTVで中継されると、「俺が助けにいく」と立ち上がるのが、名もないクレーン操縦士のおっちゃん。仲間に連絡を取って、操縦士仲間を集め、トカゲ怪人が悪事をたくらむオズボーンタワーまで、高層クレーンの段違い平行棒の道をを作ってスパイダーマンを助ける。


この、「市井の人々がスーパーヒーローを助ける」というのは、最近の流行りなのかなぁ。「バトルシップ」でも、戦艦ミズーリ再起動で退役軍人の爺様たちが「俺にまかせろ」って顔で活躍してたしなぁ。


マーティン・シーンがピーターのおじさん、アンクル・ベン役で出てました。正義の父ちゃん役が似合うなぁ。「ウォール街」の頃から印象が変わってません。


ピーターの父ちゃんの研究ノートに書かれていた、秘密の方程式、"decay rate algorithm". いや、ああいう方程式でかけるものをアルゴリズムとは言わないぞ。とかいうのは野暮ですね。


decay rate は何て訳せばいいのかなぁ。減衰率かなぁ。でも信号の減衰を指してdecayっていうかなぁ。典型的にdecayっていうのは放射性物質とかですね。でも放射能関係なさそうだし。バイオな話だってことになってるんだよね。だったらあれか、死滅率とかなのか。細胞増殖とアポトーシスで細胞が死ぬレートのつりあいが取れないとあの薬は上手く働かないと。お、なんだかちょっともっともらしいぞ。


で、結局その死滅率アルゴリズム(支離滅裂?)を手に入れた片腕博士は恐怖トカゲ男になり、驚異の蜘蛛男に追われる羽目になります。こうやって漢字で書くと、初代仮面ライダーの雰囲気がただようなぁ。小学校の頃の友達のお父さんは「蜂女が美人」と言い続けてたそうです。


で、初代仮面ライダーと言えば。本郷猛=せがた三四郎=藤岡弘ですが、このピーター・パーカー、藤岡弘にちょっと似てない?特に、にかっと笑うと目が細くなってなくなるところ。似てる。似てると思う。


人間が突然スーパーヒーローになる場合、空を飛ぶ練習は欠かせません。この映画でもピーターの練習シーンがちゃんとありました。練習シーンといえば、「キック・アス」の練習シーンがシリアスでよいなぁ。ビルの屋上で隣のビルに向かって走り、ビルの谷間を飛び越えようとするシーン。あれはドキドキします。それをいうなら、「マトリックス」の一作目でネオがやっぱりビルの谷間飛びに挑んで失敗してましたね。あれは痛そうだった。普通痛いじゃすみませんね。それに比べると、「クロニクル」の主人公達が空を飛び始めるシーンは明るくていいなぁ。


ラストシーン近く。エマ=グウェンの父ちゃんの遺言で、もうエマには近づかないと決めたピーターは、グウェンの父ちゃんの葬式にも出ず、「なぜ来なかったの」とわざわざピーターの家まで来たグウェンも追い返す。前のシリーズのスパイダーマンのラストでも、ピーターはヒロインとの決別を誓ってましたね。あの辺は前のシリーズでも結構気に入っていたところ。


なのに、このスパイダーマンは、その後、エマの居る教室に遅れてやってきて、エマの後ろの席に座ったかと思うと、エマに何事かささやきます(英語のセリフがききとれーん)。にっこりするエマ。それじゃダメだろピーター。


まぁ、前シリーズのピーターも二作目でヒロインとよりを戻してたからなぁ。


にっこりしたエマが可愛いので許す。