永遠の始まり ― 2016年02月07日
翻訳が出るのを待ち続けていた本。やっと出て嬉しいのだけど、まだ4巻組のIとIIしか出ていない。IIIとIVが出るのは今月末。待ちは続くよ。
ケン・フォレットの歴史物は好きで、 大聖堂 とその 続編 、20世紀のシリーズの 一作目 と 二作目 、とずっと読んできた。この本は20世紀シリーズの三作目。これまでのも好きだったが、今回はとりわけ夢中になって読んだ。待たされたからかもしれない。
前作は第二次大戦中の話で、全体のトーンが暗くてややつらかった。邦訳の題名が「凍てつく世界」だからね。その通りの内容だった。それに比べると、今作は戦後の話で、明るい。もちろん、東西冷戦やベルリンの壁、公民権運動やキューバ危機など、苦しみは世界に数多あったのだけど、でもやはり1960年代の明るさは伝わってくる。
歴史に詳しいわけでもないけど、今回読んで初めて知ったのは、米国公民権運動におけるフリーダムライド。1960年代にして、まだ黒人はこんなに迫害されていたのか、と思う。
それからリンドン・ジョンソン大統領の描かれ方がちょっと意外だった。ケネディの後に出てきたパッとしない大統領ぐらいにしか思っていなかったので、活躍ぶりが意外。でも彼が活躍し始めるのはIIの最後なので、IIIやIVではどうなるか、まだ読んでいないのでわからない。楽しみ。
歴史上の人物が登場して、公的な場面だけでなくプライベートなシーンでもセリフを語るので、どこからどこまで史実に沿っているかはよく分からない。ただ、そのままではなくても、少なくとも似たイベントはあったのだろう。
このシリーズで一つ困るのが、やたら18禁シーンが多いこと。歴史的事実を語るのに外せないシーンもあれば、それほど必然性のないシーンも多い。どっちにせよ、それが多いので、娘たちには勧めにくい。大聖堂以来、どの話でもその手のシーンが多い。主人公たちが幸せにキャッキャウフフしててくれればまだしも、悲惨なシーンも多いので、鼻の下も伸びない。
とても読みやすい訳。一つだけ気になってしまうのは、ドイツ語の音のカタカナ表記。「シュトラッセ」とか「ワルター」とかごく一部だけど。まぁロシア語とかの表記も違うのかもしれないけど、僕には分からないから気にならないので、ドイツ語もどうでもいいっちゃいい。
これまでのケン・フォレットの本は、いつも出たらいそいそと読んで、それからすぐ古本屋に売り払ってた。すごく面白いのだけど、あまり愛着が湧かなかったので。今回のは初めて、手元に置いておきたい気がした。さらにいうと、前の本をもう一度読み返したい気がしてきた。大聖堂も含めて。
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