Neckar氾濫2013年02月02日


浸水した Altebrücke 下の道路


ハイデルベルクの観光の目玉の一つ、 Altebrücke (古橋)の真下で、Neckar川が溢れて道路が浸水してました。2年前にも増水してるところは見たのだけど、浸水してるのを見たのは初めて。

浸水越しに城を望む

橋の上から城を眺めても盛大に浸水してますが、実は水が及んでいる範囲は僅かです。

橋の下流側も水浸し

橋の下流側も水浸しですが、この辺までしか及んでません。

以前撮った同じ場所

前にこの願掛けの鍵を撮ったときの写真です。鍵があれからだいぶ増えたなぁ。

迂回路の標識

橋の下に向かう道路は当然閉鎖。 ,,Umleitung" (迂回路) の表示が出てます。

迂回路に向かう車

迂回路で迂回する車たち。車にとっては、大した迂回じゃないのですが、橋の根元の観光客がたくさん歩いて通るところを山ほど車が通ることになるので、大変危ない。こらっ、そんなにスピードだすんじゃない!

ウルフ・ホール2013年02月03日

以前、俺はトマス・クロムウェルみたいな奴だと言ったな。あれは嘘だ。


 Wolf Hall Hilary Mantel Fourth Estate Ltd.
 (邦題:ウルフ・ホール ( ) ヒラリー・マンテル 早川書房)


いや、ほんともう、済みませんでした。こんなすごい人に似てるわけないです。


チューダーズを見てる限りでは、なんとなく王に対する媚びとへつらいだけで出世したような感じにも見えたのだけど、この小説、ウルフ・ホールの中では、有能さの限りを尽くした人として描かれています。しかも、人格もまともで、人間味にも不足がない。


法律家であり、弁護士として弁も立ち、庶民からも貴族からも、金策を含めたあらゆる相談事を受けて解決してやる。新約聖書を丸暗記しているといわれる程、キリスト教の教義にも詳しく、かつ教会のしきたりにも、その腐敗にも通じている。


ようは段取りがいいというか、彼にやらせると大きなイベントの手配などが手抜かりも滞りもなく、とり行われるわけです。


生まれはウェールズの鍛冶屋の息子で、乱暴な父親に殺されかけて、少年のうちに家出。若い頃は傭兵としてフランス軍に参加してイタリアに攻め込んだりしていて、体格もよければ戦場での白兵戦経験もある。青白い学者タイプではない。


のち、オランダあたりで商売の経験も積んだらしいのだけど、詳しいことは不明。それならそのまま商人になっても成功したろうに、なぜか帰国。いつ学識経験を得たのかよく分かっていない。


ヘンリー8世の元で権勢を振るった枢機卿トマス・ウルジーに側近として仕える。生まれが卑しい、と、貴族からは見下される。ウルジーが王の寵を失って凋落しても、最後まで忠義を尽くす。


ウルジー、ああウルジー。チューダーズで最初みたときは唯の欲得まみれのおっさんに見えたのに、今ではなんだかすごく共感を誘う。運命の理不尽さと予見し難さ、人生万事塞翁が馬、果敢に暴れ馬を乗りこなすことに挑戦し、一度は手なずけたように見えたが、最後は振り落とされたおやじ。クロムウェルはこの師の足跡を、振り落とされるところまで忠実にたどってしまう。


ウルジーに代わって王の信頼を得て、めきめき出世しても、かつての政敵に報復したりはせず、彼らがクロムウェルを頼ってくれば他の依頼人同様に助けてやる。もっとも、その時には見下されていた昔を思い出して苦笑したりするのだけど。


ただし、トマス・モアが処刑されるに至ったのは、クロムウェルが書いた、王の権力を教会より上に置く法律への同意の宣誓を、モアが拒み通したからなので、間接的にクロムウェルがモアを殺したともいえる。とは言っても、死刑宣告を下したのはロンドン市民からなる陪審員たちで、クロムウェルではないし、モアはモアで、プロテスタントを異教徒として摘発して、教皇の権威を認めない彼らを大勢火刑に処している。


なんでこんなヒーローが日本ではほとんど知られてないんだろう。トマス・モアの方がまだずっと知られてるよね。モアは「ユートピア」書いてるから教科書に出てくる。きっとそのせいですね。


前にも書いたように、クロムウェルも結局は失脚するのだけど、ウルフ・ホールではそこまで話が行かず、ウルジーの没落、モアの刑死と、それと平行してクロムウェルが高位に上り詰めるところまでで終わります。で、やっぱり3部作にするらしい。2作目は、英語ではもう出版されている。 Bring Up the Bodies  これも読みたいけど、英語版に手を出すのはやっぱりちょっとためらう。クロムウェルの失脚は3作目に持ち越される様子。


クロムウェルには、同年輩の仲間はあまりいなくて、目をかけてくれる上司(ウルジー、王)と、息子同様の歳若い、優秀な部下たちがいる。味方といえるのはクランマー司教ぐらいで、王のもう一人の側近スティーブン・ガーディナーは仇敵、モアとは宗教観の違いから相容れない、ノーフォーク、ブーリン、サフォークたち貴族からは見下されている、スペイン大使シャプイとも職務上利害が対立するが、シャプイとは、それぞれ皇帝や王のわがままに振り回される身、という共通点から、プライベートでは家に招いて食事をする仲。あー、なんかこの辺も、クロムウェルにわが身を重ねて考えたくなる理由。


スペイン大使ユースタス・シャプイはチューダーズでも好感度の高さで一二を争うキャラクタだと思いますが、ウルフ・ホールでもそうです。ただし、チューダーズでの好感度は、キャサリン王妃やメアリ王女への親身な態度から来てると思いますが、この本だとあまり彼女たちとのやり取りは出てきません。


チューダーズにはまった人は、安心してウルフ・ホールにもはまれると思います。だいたいどの人物もどちらでも同じような描かれ方をするので。あっちで極悪人だった人がこっちでは善人に、ということはありません。


仕事のし過ぎで体調を崩し、原因不明の高熱を発してクロムウェルが家で静養を余儀なくされると、なんとヘンリー8世がじきじきにクロムウェルの家を見舞いに訪れます。王が、貴族でもない個人の家を。粟粒熱が流行ったときにはロンドンにもよりつかなかったヘンリーが病人の館を。家族や住み込みの部下達はせいいっぱい着飾って王を向かえ、王が極めて上機嫌で親しみやすく皆に接することに驚きます。


史実にあることかどうか知りませんが、クロムウェルに対する王の評価が上がる所まで上がったのを示す、下巻の巻末近くの晴れがましいエピソードです。


主人公が順調に立身出世する物語が好きな人、ほら、そこの君のことだ。読んでみたら?


ダウントン・アビーにもあっさりはまる2013年02月10日

DVDのパッケージと箱

毎回修羅場がありそうでテレビの前から逃げ出したくなる、20世紀初頭のイギリスが舞台のお屋敷ドラマ。


 Downton Abbey (邦題:ダウントン・アビー)
 (邦題には、何かとんでもない副題が付いてたりすることがあるけど無視)


ROME」「チューダーズ」と来て、つぎはこれに手をだしてみました。イギリス行ったときに空港のDVD屋でシーズン2までのセットを購入。時代がいきなり現代に近いですが、100年前はやはり別世界です。


これまでにシーズン3まで放送されてます。私が見たのは、まだシーズン2の途中までですが、シーズン1の一話からあっさりはまれます。やっぱり、感情移入して応援したくなるキャラがいるとはまりやすいな。


伯爵とその家族が住む館、ダウントン・アビーには、執事や給仕やメイドなどの使用人たちも住み込んでいて、伯爵達は上の階に、使用人たちの部屋は下にある。


使用人たちの朝は早い。厨房では最年少のメイドデイジーがコックのミセス・パトモアに追いたてられながら朝食の準備をし、その横では伯爵達が読むための新聞に給仕がアイロンをかけている。やがて使用人たちの部屋でベルがなる。伯爵夫人が目を覚ましたのだ。メイドが朝食を寝室まで運び、まだベッドの上で半身を起こしてくつろぐ伯爵夫人の前に置く。


分かりやすい階級社会。これで貴族が使用人をいびったり、使用人が影で貴族に仕返ししたりする話だと暗くてたまらないのだけど、今の所(シーズン2の3話まで見た)そういう話にはなっていません。


伯爵もその夫人も、人格者として描かれています。また使用人もほとんどが自分の仕事に誇りを持ち、また伯爵やその家族に対しても愛着を持っている様子が描かれています。


衝突はむしろ同じ階級の中で起きます。貴族と貴族、使用人と使用人の間で。


第一話では、伯爵の相続人だった親族がタイタニックの沈没で亡くなり、相続権が見知らぬ親戚、中産階級の青年マシューに移った、というニュースから始まります。この結果、伯爵の長女メアリーには何も渡らないことになり、伯爵の母、妻、娘たちは戦闘準備してマシューとその母がダウントン・アビーに乗り込んでくるのを迎えます。


一方、伯爵は新しい Valet  (主人が衣装を身に着けるのを手伝ったり、身の回りで世話を焼く係、らしい)として、ベイツ氏を雇います。が、ベイツは足が悪く、歩くのに杖が要る。これで伯爵のお世話ができるのか。実はベイツは伯爵の戦場での旧友で、そのよしみで雇われたのだった。ベイツは最初からずっと控え目で、足が悪いのを見かねて手を貸そうとする人にも「大丈夫、やれます」と言いつづけて仕事に精を出すのだけど、伯爵に親しげに声をかけられるベイツを見て、一部の古株使用人は反発し、いびり出しにかかります。


結構胃が痛くなりそうな展開でしょ。毎回かならずこういうハラハラする展開があります。僕は人間関係がどろどろするこういうの苦手なのに、あーもー見てられん。うちの下の娘もこういうのが超苦手で、もし見たら、TVの前から逃げ出して隣の部屋から覗き見するだろうな。


でも、実は、毎回救いがあります。どろどろ苦手な人が見ても大丈夫です。


あ、それから、ROMEやチューダーズと違って、中学生が見ても大丈夫です。エロいシーンもグロいシーンもありません。私が買ったDVDの箱には「12歳以上の視聴に適する」というマークが描かれてます。ご家族にお勧め。


以下、俳優に関する雑感。


登場人物みんなに結構エピソードがあるので、誰が主役、とは言いにくいのだけど、一応ヒロインと言えそうなのは伯爵の長女の メアリー です。伯爵の三人娘の中でも一番の美人、と、いうことに、なって…うーん。


この人、モンティ・パイソンの ジョン・クリーズ にそっくりに見えるんですけど。あ、ファンの人、石投げないで、ごめんなさい。でも似てるでしょ。


でも、回を追うに連れ、だんだん美人に見えてくるから不思議だ。


ベイツは、そのうち主要登場人物の一人と結婚しようとするのだけど、そこにでてくる彼の元妻、というかまだ正式に離婚してないので正妻は、なんとヘンリー8世の最初の妻、キャサリン・オブ・アラゴンを演じたのと同じ、 マリア・ドイル・ケネディ でした。「再婚の邪魔になる妻」女優というカテゴリーがあればナンバー1、存在感ありすぎ。ダースベーダーのテーマが聞こえてきそう。 "I am your WIFE." ひえー。


伯爵夫人コーラを演じるのはエリザベス・マクガヴァン。めちゃくちゃよく聞く名前な気がするのだけど、実はこの人の出てる映画を他にあまり見てません。で、結構なお年なのですが、めちゃめちゃ美人です。アップの写真とかみると、しわも多くて、はっきり老人の顔なのに、少し離れるとあらゆる表情が魅力的。なんでだろう。僕はこういう顔が美人だと認識するように人生のどこかでプログラムされたような気がする。あ、23才の頃とかいう写真発見。素晴らしい。


伯爵の母ヴァイオレットを演じるのは、ハリーポッターでマクゴナガル先生をやった、マギー・スミス。パグ犬のような、左右別々に動く飛び出した目が特徴。っていうと妖怪だな。でもそういう印象。この人、ものすごい大御所らしくて、ダウントン・アビーで一番の悪役トマス・バロー役の役者から、「恐れ多くて普通に話せるようになるまで2年かかった」と言われてる。トマスをやってる Rob James-Collier はまだ若いからそういうことがあってもわかるような気がするが、DVDについてたメイキング・オブビデオでは、マシューの母イザベル役の Penelope Wilton からも「私は昔からこの人を目標にしてきたんです」とか言われてたりする。劇中でのヴァイオレットとイザベルの確執を見てると、この二人の役者が並んでインタビューを受けてるのを見てもハラハラする。


最後に。 Downton Abbey Wiki. 便利。トップページに、「あなたのお気に入りの登場人物は?」というアンケートがあり、これによると一番はメアリーでもコーラでもなく、ぶっちぎりでヴァイオレット!


[2013年2月10日追記: シーズン2の終わりまで見た。うーん。好ましくない話の展開が目に付き始めた。ご都合主義が過ぎるケースが…]


ニーダーザクセンのスピードデート2013年02月17日

ニーダーザクセン州の男女が夢中になるのは?


 Was Niedersachsen erotisch finden Innovatives Niedersachsen



スピードデートに集まる男女。ゴングが鳴ったので男性は新しいテーブルに移る。シルケのところに来たのは、小太りの男。


「シルケです」「ヘニングといいます」「歳は?」「38」「趣味は?」「フィットネスだ」


男の体型からみて、あまりフィットネスに熱心には見えない。かすかに鼻で笑うシルケ。


「君が夢中になるのは何?」

「電子油圧式シャフトセンサーつきステアリングシステム」

「まさか」


どうせ女性らしくない趣味だと思ってるんでしょ、と言いたげな表情のシルケ。ところが。


「俺はクランクシャフトのバリなし精密鍛造が好きなんだ」「本当?!」


急に目を輝かせるシルケ。


「それは...ぜひ、拝見したいわ... バリなしクランクシャフト」

「俺もステアリングシステムのシャフトセンサーを見てみたいね」


いい雰囲気になる二人。


「ところでペットは居る?」

「あぁ、収穫ロボットだ。といっても小さいやつだけど。」

「そう。残念ね」


といいつつシルケは楽しそう。ペットがロボットであることは気にしてなくて、ロボットが小さいことが残念、らしい。


2010年頃放送されてたTVコマーシャル。ニーダーザクセンの男女はこんなに技術オタク、という、 Innovatives Niedersachsen というキャンペーンのプロモーションビデオ。


その頃見てたニュースチャンネルn-TVがこればかり流してたので、何度見たか分からん。


久しぶりに思い出して見直してみたら、あの頃より少し聞き取れるようになってました。とか言いつつ「バリなし鍛造」とか普通の辞書には載ってない。色々ググって調べたけど、違うかもしれない。教えて、偉い人。


Warm Bodies で "Z" に共感2013年02月24日

明日はアカデミー賞の発表ですが、すべてのノミネート作品に背を向けて、見てきたのがこれです。


 Warm Bodies (邦題未定: ウォーム・ボディーズ)


人に恋したゾンビ♂の話。彼が一人称で語ります。予告編を見かけて、しばらく前から楽しみにしてました。


ゾンビがはびこった世界。人は町の周りに高い壁を築いてその中に閉じこもって暮らしていて、壁の外にいるのはゾンビばかり。襲うべき人もいないので、ゾンビたちはただふらふらとさまよい歩いています。


でも、時々は人も補給物資を求めて壁の外に出てきます。ゾンビもここぞとばかり、これを襲うわけですが、そのさなか、ゾンビが人にひとめぼれします。


ゾンビの名はR。Rで始まる名前だったのだけど、彼にはもう思い出せない。


彼女の名はジュリー。つまり、これは「Rとジュリー」の物語。


ええと、いわゆる「らしい」ゾンビ映画でも、ゾンビの設定は映画によって色々なわけですが、この映画のゾンビはかなり破格です。


Warm Bodiesのゾンビとは


ゾンビのくせに走るのが速い。ただし、気が向いた時だけ。


ゾンビが走れなかったのは、何百万年も昔の話。最近の映画のゾンビはたいてい走って追いかけてきます。でもこの映画では、人を襲うとき以外は、のろのろとしか動けないらしい。


人の匂いを嗅ぎつけることができる。


ただし、ゾンビ汚れを顔にひと塗りした人には気がつけない。建物の外からでも、建物の中にいる人に気がつけるのに、Rがジュリーの顔に手をなすりつけて汚すと、それだけで他のゾンビにはジュリーが人だとは分からなくなる。


ずっとものを考えている。


喋ることはほとんどできないのだけど、頭の中ではいろんなことを思っている。


ゾンビは眠らない。夢も見ない。


ただし、人の脳を食べると、その人の記憶を追体験できる。これがゾンビが見る夢。


ゾンビはそのうちボーニーになる。


ボーニーは骸骨っぽいもので、ゾンビより更に人から遠いもの。損傷が甚だしくなると、そうなる、のかもしれないし、ほどよく熟成すると、なのかもしれない。


なぜ人が、ゾンビになったのかは誰にも分からない。


既存の科学を超越した現象なのは間違いない。だから、ゾンビがほぼなんのきっかけもなく人間らしくなり、回復し始めてはいけない道理はない。


この最後の点は大事で、僕はなんとなく、ゾンビが人に戻る理屈を説明してくれることを期待して見ちゃったので、最初不満があったのですよ。何にも説明がないから。あまつさえ、物理的には損傷をひどくするだけのはずの出来事をきっかけに生きた人間に戻ったりする。でも、コアなゾンビ映画でも、ゾンビの出現には何の説明もないし、ましてやこれは正調ゾンビ映画ぢゃないから。


この映画のゾンビは記号的。ある種のゾンビ映画は、あり得ないはずのゾンビに、最大限のリアリティを持たせることを狙っている。だから、死体が動くという一点を除いては、なるべく通常の科学法則が破られないように務めている。この映画は違う。ここでのゾンビは、超常現象としてではなくて、他人とのつながりを求めてなかなか得られない、普通の人々の悩みを絵にしたものだ。だから、ちっともゾンビらしくないゾンビが出てくる。前者の映画を求める人は、この映画にはフラストレーションを感じると思う。


あのう、物理的に、じゃなくて、物語的にはRが人に戻った理由はしっかり説明されてます。ないのは、タイムマシン映画のタイムマシンの動作原理みたいな、エセ科学理論だけ。そういうのが良くできた映画はそれはそれで楽しいし、僕もそういうのが好きだけど、そうでなくてもいいよねってことで。


「桐島…」のゾンビどもを思い出したりする。あの映画では、リア充には笑われたり、目にも入ってなかったりする映画部のオタクたちが、ゾンビ映画を撮ろうとしてた。 Rはイケメンなので納得はしにくいのだが、彼の行動や考えはどちらかというとオタクっぽい。 Rに怯えるジュリーに声をかけようとして、頭の中で、

Don't be creepy, don't be creepy, ... (怖がらせちゃだめだ、怖がらせちゃ...)
と自分に言い聞かせてる、とかな。♪人に姿を見せられぬ、獣のようなこの体。彼の、人の暮らしへの憧れと、コミュ障のリア充への憧れがダブります。


ジュリーに出会う前から、レコード(CDではない)のコレクションをしてたR。ちょっとWall-E (うぉーりー)みたいでもある。女の子に不器用で、でも好きな女の子に一途な感じは、確かにWall-Eにも似ている。


ジュリーの着替えで「オーマイガー!」なR。とってもティーン映画。「見ないで」といいつつ、Rが同じ部屋にいても平気で上着を脱ぐジュリー。まだこの時点ではジュリーはRをあんまり人間扱いしてない。


RといえばR・田中一郎。ダニール・オリヴォーはちょっと置いとく。この映画の監督があーるを知ってたはずはないし、あっちがRならこっちはどっちかっていうとZだったりするのだけど、この映画のRのとぼけた風味は結構あーるにも似てるなぁ。


Zといえば World War Z. あの映画の予告編でインパクトがあったのは、人の住む街を囲む高さ10m以上ありそうな壁と、そこに津波のように押し寄せるZどもでしたが、あの壁とそっくりの壁がこの映画にも出てきます。 Warm Bodies で、最後にあの壁が崩れたのは、人の街の崩壊じゃなくて、Zの脅威が去ったことを意味してるんだろうな。説明なかったような気がするけど。


アナリー・ティプトンがノーラの役で出てます。前に見たのは、「ラブ・アゲイン」の時で、中年男に恋するベビーシッターの役でした。ちょっとおばさんぽい顔なんだけど、印象的。ジュリー役の子よりずっといい。


アナリー、ちょっとジェフ・ゴールドブラムにも似てないか?ジェフってのは、色んなSF映画で科学者の役ばかりやってる人です。「ザ・フライ」「ジュラシック・パーク」「インディペンデンス・デイ」とかね。アナリーも、何だか今にも科学的うんちくを垂れはじめるんじゃないかと思いました。そういえばこの映画では、どうやら医者でもあったみたいだし。


ジュリーとノーラはRをジュリーの父に合わせるために、なるべくRを人らしく見せようとして、二人でメーキャップをすることに。Rを鏡の前に座らせて、いざお化粧、というところで流れてくるのは、「プリティー・ウーマン」。ナイス。


ジュリーのバルコニーのシーン。後から出てきたノーラに、小さく手をあげて挨拶するR。「サップ!」(Sup!)と返すノーラ。ナイス。


今時、白雪姫が剣を手にとって鎧を着て戦いヘンゼルとグレーテルが R指定の映画になる中で、この映画は本来の意味のおとぎ話です。米国でのレーティングはPG13 (13才以下は親の判断で)。ホラーの苦手な人でも大丈夫。


imdbによると、日本公開は2013年9月の予定。公開予定があってよかった。