記事一覧: 映画 お出かけ チューダー朝

家族4人でアグリコラ2013年01月01日

ようやく負けなくなったので書く。つっても、30点越えられるようになった程度だけど。


この秋から何度か、家族4人でアグリコラする機会があって、ドイツ語版持ってたのに日本語版まで買ってしまった。下の娘は、「ドイツ語でないと雰囲気が崩れる」と反対してたんだが、妻が「お父さんしか読めないのはずるい」と言い出して、「よろしい、ならばやむを得ん」と蛮行に及んだもの。


娘たちは学校の宿題や塾で忙しいので、中々遊ぶ時間は取れない。年末は29、30になってようやく1回ずつプレーできました。


で、それ以前までは、なぜか一人負けしてたんですよ。強いのは妻。アグリコラに限らず、大抵のゲームをやらせても強い。次は下の娘。小さい頃からカードゲーム、ボードゲーム大好き。お姉ちゃんはそれに比べるとゲーム慣れしてない。そんな中で、いそいそドイツゲーム買ってきて、やろうよ、って言ってるのは僕なんだが、弱い。勝てない。最下位もしばしば。


秋にアグリコラした時に、10点台で最下位になって、流石に考え込んだ。が、すぐに易きに流れてググって見た。主に見たのは以下の三つ。



これらを読んでも、何が決定的に自分の考え方 ( or, lack thereof ) に足りないのか、すぐには分からなかった。でも、今回久しぶりにプレーして、自分の職業カードと小さい進歩カードの束を眺めると、景色が違って見えた。


何が見えたのかは書きません。まだ30点取れるようになった程度で世間に向かって何か語るのはちゃんちゃらおかしい。


が、家の中ではドヤ顔で語る私。怒る妻。「勝てないからって、Webでコソ勉するのはずるーい!」いやー、だからさ、皆で同じページを読んで、全体のレベルをあげようよ。ほら、娘たちはもう一生懸命読んでるし。


あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


ふわっとBiblios2013年01月05日

Bibliosno

せりをするゲーム。せるための資金の手に入れ方が変わってます。で、とってもアブストラクト。


コンパクトな箱で、ゲーム中にもあまり広い机がいらないので、旅行に持っていって宿で遊びました。


せりで手にいれるのは、五色のサイコロ5つ。五つの色には、それぞれ薬草とか、写字僧とか、中世修道院テーマの意味とイラストが付いていて、きれいだけれど、ゲーム進行上は意味がない。


五色のサイコロ

このゲームではサイコロは一度も振りません。最初はどのサイコロも、3の目が出ているように置く。ゲーム中、時々サイコロの目が増えたり減ったりする。最後に出ていた目が、そのサイコロを手に入れた時に得られる点数になる。


五色のサイコロを手に入れるには、それぞれの色のカードを集めて、カードについてる点数の合計で競り落とす。いやいや、これはせりじゃないか。緑のカードは緑のサイコロを手にいれるためにしか使えないので、ありったけの点数を出す以外の選択肢には意味がないから。


色付きカード

で、色付きカードを手に入れるには、山札をめくって引き当てるか、金貨で競り落とす。


金貨カード

このゲームは、全体が二つの場面に分かれていて、最初は配る場面、次が、せる場面。配る場面では、自分の番が来たら5枚山札をめくれて(4人で遊ぶ場合)、そのうち1枚を自分のものにできる。別の一枚はあとでせりにかけるために場の山札に積む。残りの3枚は、他のひとに1枚ずつ配る。だから、他の人の番にも、1枚必ずカードが手に入る。


最初の山札がなくなったら、今度はせる場面。「後でせる」ことにしてあった山札をシャッフルして、そこから1枚ずつめくって、せりにかける。色付きカードが出たら、金貨のカードで競り落とす。


ところが、金貨のカードがせりにかけられることがある。この時は、金貨じゃなくて、手持ちのカードを何枚捨てるかで競る。


だから、このゲームでは、手持ちのカードを捨てて得た金貨を払って得た色付きカードの点数で得たサイコロの目の合計を競う、という、3層構造になっている。えーっ?なんだそれ。


他に、サイコロの目を変えられるカードがあります。目を増やせたり、減らせたり、変えられるサイコロの数が一つだったり、二つだったりします。配る場面でも、せる場面でも、このカードを得た人がその場で目を変更します。


サイコロの目を変えるカード

トランプでもできそう。トランプの4つのスーツで5色を置き換えればいいかな。A,K,Q,J,10を色付きカードとして使って、その他のカードを金貨として使えば良さそう。あ、何枚かはサイコロの目を変えるカードに割り当てないと。


最初は妻と下の娘と私の三人でやって、サイコロの点数で妻と娘が同点、所持金が多かった妻の勝ち。所持金でタイブレーク、ってルールを説明してなかったので、娘は最後のせりで大盤振る舞いしてしまった。「えーそんなの聞いてないよ〜」ごめん〜。


2度目は4人でやって、点数の大きな色付き札がやたらと手に入ったらしい、上の娘が独り勝ち。


続けて3回目は、やっと4点と3点のサイコロを2個ゲットした僕が勝ったと思ったら、下の娘が4点サイコロを2個手にいれて勝ちました。


誰がどの色を集めてるかは分かるのだけど、その色を何点持ってるかは読みにくい。なので、結構点を集めてすっかりゲットしたつもりの色をさらわれることもあれば、何の期待もせず1枚だけ持ってた色が自分に転がり込んでくることもあったりする。


最近、アグリコラっぽいゲームばかりやってたので、違うタイプのゲームは新鮮。不思議な遊び心地、とまで感じる。準備もゲーム中も手間要らずで、割合早く終わる(4人で小一時間)。


人との絡みは多くて、それもいいところなのだけど、どっちが勝っているか分かりにくいので、あまり激しい争いにはなりません。カルカッソンヌで、平地を支配する争いでやきもきして疲れる、ようなことは起きません。


みんな面白かったと言ってるのだけど、何が魅力かよく分からない、ふわふわしたゲームでした。


人生の特等席:アンチ・マネーボール2013年01月13日

ク リント・イーストウッドの映画は最近見なくなってました。なんとなく説教臭さを感じてたから。この映画もそういうところがあるんですが、その一方 で、随分大衆迎合的というか、お涙頂戴的というか、水戸黄門的なお決まりの着地点に着地する話で、その結果、見た後の気分がとても爽やかなのだった。


いや、もうちょっと高踏的でもいいような気もするんだけど……まぁいいか。


 Trouble with the curve (邦題:人生の特等席)


ガス(イーストウッド)はメジャーリーグ球団の老いたスカウト。実績を買われてこの歳でも現役スカウトだが、あと3ヶ月で今の契約は切れる。その上最近は目が霞むようになってきた。もうすぐ年に一度のドラフト会議があり、球団が誰を一位指名するかが、ガスの意見にかかっている。ガスたちスカウトは、めぼしい選手がいる高校チームの試合を見て回らないといけない。


スカウト部長(ジョン・グッドマン)はガスの長年の親友だが、ガスの様子がおかしいので、ガスの娘のミッキーに様子を見てやってくれと連絡した。同じ球団のスカウトチームには、選手を見ずに、最近流行りのデータ分析で選手の良し悪しを決めるライバルがいて、ガスやスカウト部長を蹴落とそうと狙ってる。


ミッキー(エイミー・アダムス。かわいい)は法律事務所で弁護士として猛烈に働いていて、今担当中の裁判に勝ったら役員に昇格する、と上司から言われるところまで来た。前途有望だけど、楽じゃない。恋人もいて、結婚もほのめかされてたりする。


ミッキーが心配してガスの様子を見に行くと、ガスは「何しにきた、何も問題なんかない」と追い返すのだけど、明らかに様子がおかしいので、ミッキーはガスと一緒に高校生チームの試合を見て回る。ミッキーは子供の頃からガスに連れられて野球場を回っていて、野球には詳しい。何年のワールドシリーズの第何戦で誰それにホームランを打たれた4人の投手は誰、ってなクイズにすらすら答えられるくらい。


ガスはドラフトでちゃんと指名ができるのか、ライバルスカウトとの競争はどうなるのか、ミッキーの昇進と恋人はどうなるのか。ガスとミッキーはどうしてまともに話ができないのか。二人の間のわだかまりは解けるのか。まぁ、そういった興味で引っ張るストーリーなわけです。


2011年のブラピの映画「マネーボール」の裏返し。「マネーボール」では、スカウト部長のブラピがコンピュータオタクと組んで、成績が悪くて他の球団から安値でトレードに出されてる選手の中から、統計的に見ると実は勝ちに貢献している選手を見つけて、金のない弱小球団を勝てるチームに変えてました。その間、ブラピたちはマスコミや野球評論家や他のスカウトから、

コンピュータに何が分かる。人間のスカウトが球場に出かけて直に選手を見てこそ、選手の良し悪しが分かるんだ。
と言われ続けたのだけど。


一方、この Trouble with the curve では、データ派のスカウトが悪役で、ガスが、

人間のスカウトが球場に出かけて直に選手を見てこそ、選手の良し悪しが分かるんだ(たとえ目が弱っていても……)
と言い張ります。


「マネーボール」はコロンビア・ピクチャーズで、こっちはワーナーブラザーズでした。


球団のボス、ヴィンス、がロバート・T1000・パトリックでした。この人どこに出てきてもT1000に見える。コンピュータ対ジジイのスカウト合戦で、最後の審判を下す役。「お前はくびだ!」よく似合ってました。


ライバル球団のスカウト、ジョニーはジャスティン・ティンバーレイク。この人この映画では真人間の好感度高い役ですが、 Bad Teacher の奇天烈な役の印象が強すぎてなじめん。今 imdb で見たら、ソーシャル・ネットワークでもショーン・パーカーの役で出てたんだ。 Drop the "The." Just "Facebook." の人かぁ。やっぱりエグイ人の役ですね。


ボー・ジェントリーは今年の高校球界の一番の注目選手。この憎憎しげな坊やと対決する、あっと驚くダークホースの顔が、野茂っぽいと思ったのは、例によって私の目の節穴ぶりかなぁ。


以下、ネタバレ。







伏線がよく貼ってあって、後で次々回収されます。冒頭の馬が走るシーン。ナッツの袋をボーが買わずにつけにするシーン。酒場でミッキーに絡んだ男にガスが激昂するシーン。どれも最初に出てきたときは伏線だと気がつきませんでした。


でも、結末は、とても御都合主義。ミッキーは仕事をライバルの弁護士に取られて昇進もダメになるのだけど、結局そのライバルは大事なプレゼンに失敗し、ミッキーにまた昇進のチャンスが戻ってくる。その上、ガスとミッキーに騙されたと信じて去っていったジョニーまでミッキーの所に戻ってくる。どっちもなぜそうなったのかほとんど説明されてないと思うんだけど…


橋の守護聖人ネポムクのヨハネ2013年01月14日


Neckar河畔

いつもの Neckar 河畔の風景。

Neckar河畔の緑地

結構寒いんですが、散歩する人多し。僕はこの日、セーター手袋新しいコートと厳重に装備したつもりだったけど、帽子を忘れて耳が凍えそうだった。

Heidelberg城

城を見やると、城の背後の山にうっすら雪が積もっている。

ネポムクのヨハネ

Altebrücke から20mぐらい離れたところに立つ、ネポムクのヨハネの像。この人は橋の守護聖人で、あちこちの町の橋の上や橋のそばにこの人の像が建っている。

ヴュルツブルクの Alte Mainbrücke に立つネポムク像(2010年夏撮影)と比べてみる。

Würzburgのネポムク像

聖人の印の星の後光と、帽子が特徴かな。

帰り道、Hauptstraße で、今まで見たことない大道芸人を見かけた。

2階建て大道芸人

うーん、どうなってんでしょうね。上の人だけが本物、に一票。

ジャンゴ 繋がれざる者2013年01月27日

タランティーノの最新作は西部劇。時は1858年、南北戦争、そして奴隷解放のちょっと前。ジャンゴ=主人公は黒人で、賞金稼ぎのドイツ人に助けられて彼のパートナーになる。二人とも銃は凄腕。さんざん賞金を稼いだ後、二人はミシシッピの大農園に乗り込む。ジャンゴの妻を取り戻しに。


 Django Unchained (邦題:ジャンゴ 繋がれざる者)


前半は笑いどころたっぷりです。後半、妻を取り戻しに行くところから、辛いシーンが多くなります。


賞金稼ぎのドイツ人キング=クリストフ・ヴァルツが、期待通り良いです。イングローリアス・バスターズのナチ将校とは一転して、主人公を助け導く役ですが、その割にあんまりキャラが変わってない気がする。共通するのは、人の意表を突く喋りで相手を戸惑わせるあたりかな。彼の登場第一声から館内爆笑。


ヴァルツはこの映画でも各国語を喋ります。英独仏。で、やっぱり人に盗聴されないように外国語で話すシーンがあります。英語の字幕が出てたけど、作中の理由により、ゆっくり喋ってたので、僕でも聞き取れた。


ジャンゴの妻がいる農園主キャンディーはレオナルド・ディカプリオ。クイック・アンド・デッドでヒヨッコを演じていた彼も、立派な年寄りの悪党になりました。キャンディーの奴隷に対する扱いは、見ていて辛くなるぐらい酷いのだけど、にも関わらず、彼は当時の法に触れることはまったくしてない。最後までそう。というのが気持ちが暗くなる。「所有物(奴隷)をどう扱おうとも全く私の勝手だ」というのが法律だった時代。


キャンディーの館の奴隷頭はサミュエル・L・ジャクソン。この奴隷頭は、キャンディーに忠実で、奴隷やジャンゴに一片の同情もない悪役。


タランティーノも例によってちょっと出演。


この先ネタバレ。あまり、謎がある映画じゃないので、ネタバレっていっても単にストーリーに触れるだけですが、一応。









キングの馬車の屋根の上には、スイカ大の歯の模型が提灯アンコウの触覚のようにぶらぶらしていて、とても目を引きます。と思ってたら、後でこの提灯がちゃんと活躍して、なんだか嬉しい。


クー・クラックス・クラン(KKK)もどきのやつらが出てくるのだけど、徹底的に間抜けに描かれていて、ここでも大笑い。南部の農園で賞金首をジャンゴがおおっぴらに仕留めて間もなく、荒野でキャンプするキングとジャンゴの馬車を、KKKが取り巻きます。ここで前触れなく時間が前後して、過去のシーンが出てきます。誰かの回想シーンてわけでもないので、ちょっと戸惑う。農場主が手下を集めて、これからジャンゴたちを襲撃に行こうというシーンなのだけど、KKKのシンボルである、目の所だけ穴をあけた、白い覆面がおちょくりの材料になってます。


後半、辛いのだけど、印象に強く残るシーンがたくさんあります。


キングの策略に気づき、ディナーの席に、かつての反乱奴隷の頭蓋骨を持ち込んで骨相学を語り始めるキャンディー。その流れでジャンゴの妻の頭を押さえつけてハンマーを振り上げ、「お前の返答次第では今すぐこの頭を砕いて、この頭にも3つのくぼみがあるかどうかを確かめてもいいんだぞ。」屈服するキング。


(三銃士の作者)「アレクサンドル・デュマは黒人だ」ってセリフがあります。Wikipediaによると本当にそうで、デュマのがクレオールで、デュマも人種差別を受けたと。そうだったのかぁ。


キングに別れの握手を強要するキャンディー。「どうしてもというなら」と手を前に出すキング。


キング「すまない、我慢できなかった」この映画でも一番すっきりする瞬間だと思う。


でも、タランティーノの映画で今更どんどん人が死ぬのには驚かないけど、なんかスッキリしない。


いろいろ考え合わせると、ジャンゴが撃った中で悪人じゃないだろう、って奴はいないかもしれない。でも、映画を見てる間はそう判断しきれなくて、ジャンゴが罪のない人を撃ちまくっているように感じるのですよ。それに、キャンディの妹はどうか?鉱山にジャンゴを輸送してた3人はどうか?ジャンゴが遠くから狙撃した殺人犯だって、その罪はキングが説明するだけで、映画の中では描かれないので、打たれた直後にまだ少年らしき息子が駆け寄るのをみると、スッキリしないのですよ。周りの観客は笑ってたりするんだけど。


良心回路ジェミニを組み込まれた某変身ヒーローは、悪の手先となった元の仲間と戦うことができない、昔の漫画の、そんな設定を思い出したり。そういう風に感じてしまう人は、服従回路イエッサーも組み込んでから見に行く方が良いです。


[2013年1月27日追記: キングとランダが似ている件について]