Non-Stop (フライト・ゲーム) ― 2014年03月17日
ドイツ語でみた。なので、ちゃんと筋が分からない。謎解きなのに……
だけど、佳作の匂いがします。なので、オススメ、と言いきってみる ←おい!
[2014年8月23日追記:邦題分かったので書き換えました。まぁ、悪くないと思う。]
リーアム・「シンドラー」・ニースンが、Air Marshal という、航空機内の警察のような職業の人を演じています。話は彼がアメリカからイギリスに向う旅客機に乗り込むところから始まり、飛行中の機内で起きる、連続殺人予告と1億5千万円の要求を伴う脅迫メッセージに、彼が翻弄されながら対処する、というお話。
今ググった。 Air Marshal ってのは、正式には Federal Air Marshal 連邦航空保安官というそうな。
で、犯人は最初携帯かスマホのメッセージサービスでリーアムにだけ話しかけてくる。機内でもメッセージつながるのか?
謎解きなのでネタバラシはやめて、ぼおっと思った、よしなしごとを書く。
ダウントン・アビーのメアリー、ミシェル・ドカリーが、キャビンアテンダント役で出てます。ダウントンでの、貴族としてサービスを受ける側の描写を見慣れていると、腰を低くしてサービスする側にいるミシェルは違和感というか新鮮というか、でもこれもいいなぁ……
たまたま隣り合わせた乗客その一(だよね?自信ない)に、ジュリアン・ムーア。「羊たちの沈黙」でジョディー・フォスターがやったFBI捜査官の役を、続編「ハンニバル」でやった人です。ごめん、この人見ると、どうしてもジョン・リスゴーを思い出しちゃうんだ。似てると思わない?
「シンドラーのリスト」のリーアムが、どうしてすっかりアクションスターになってしまったのか、不思議なのだけど、僕が見てない「96時間」シリーズでも、こないだ見た「アンノウン」でも、超人的な身体能力を持つスパイ、みたいな役どころで、この映画でも最初っからそうです。
NYPD (ニューヨーク市警)のゴツい兄ちゃんが乗客にいるのだけど、このいかにも強そうな兄ちゃんにも肉弾戦で互角の戦いをします。なんというか、恐竜が暴れているような戦い方。
機内が舞台のスリラーなので、ただでさえ機内では上映しにくいんじゃないかと思うのだけど、決定的にヤバそうなシーンが一つ。リーアム君が、機内のトイレに入って、煙感知器をガムテープで塞ぎ、ゆっくりタバコを吸います。本筋にも関わっているので、カットもできないだろうなぁ。
ちゃんと字幕版か、せめて英語版で見直したい。
ハンナ・アーレント ― 2014年03月30日
俗物は叩く。容赦なく。うわー助けてくれー! (ベシャッ)
Hannah Arendt (邦題: ハンナ・アーレント)
ハンナの自宅でのパーティのシーン。ニューヨークの高層マンションに、ドイツ時代からの友人や今の大学の知人を集めた、カジュアルなパーティ。当初は皆英語で話しているが、途中でドイツ語での議論が始まる。ドイツ語についていけない人たちは別の部屋の窓際に退避して一服。
「ドイツ語は読めるんでしょ。」
「読むのはいいけど、会話にはついていけないよ。ああ速くてはね。」
会話についていけない、と言っているのはハンナが教えるニューヨークの大学の上司。
ハンナはニューヨークで講義をしているけれども、講義で使うのはドイツ語。
ハンナが教えているのはドイツ語ではない。現代思想だ。
学生はドイツ語が分かることが前提で、質問もドイツ語で。
そういうクラスがあるぐらいだから、大学の上司もそこそもドイツ語が達者でなければいけないはずなのだが、彼はドイツ語の会話が始まると早々に退避する。そして、「ああ速くてはね。」とうそぶく。
いやー、そんなに速くなかったぞ。僕にも分からんかったけど。
この上司は、ハンナの名声が高まるにつれ上機嫌でハンナをたたえるのだけれど、 後にハンナがメディアで叩かれるようになると、手のひらを返す、俗物として描かれる。
それは、当時のニューヨークのとある知識人のコミュニティのあり方に対する皮肉として受け取っておいても いいのだけど、ちょっと引っかかる。
なぜなら、この映画がドイツ映画で、ドイツ語が分かる、映画製作者が、ドイツ語が満足にできない人を非難する映画を作っている、という構図があるから。
この映画の本筋の構図にも、似た意味でちょっと引っかかる。
ハンナはユダヤ人で、強制収容所にも一旦は入れられた後、かろうじて脱出し、米国に逃れ、思想家、哲学者として有名になった。ハイデッガーの直弟子でもある。
この映画では、ナチスのアイヒマンを裁く、イスラエルで行われた裁判をハンナが傍聴して、それを苦悩しつつ批判する様子と、それに対する世間の激しい非難の様子が描かれる。
ハンナは雑誌ニューヨーカーの依頼でアイヒマン裁判を傍聴し、傍聴記をニューヨーカーに掲載する。この傍聴記が世間の非難を浴びる。
ハンナがアイヒマン裁判を批判する理由は、この裁判がアイヒマンの犯罪の原因を、アイヒマン個人が通常の人間とはかけ離れた怪物的な悪であるから、と描こうとしたのに対して、彼女の見立てによれば、アイヒマンは徹底的に任務に忠実な官吏であり、彼の行為の結果悲惨を被るユダヤ人については無関心であって、憎んでいたわけでも迫害されて当然と思っていたわけでもない、と考えたから。
それに加えて、ハンナは傍聴記で、戦時中、各地のユダヤ人集団の指導者層の一部が、ナチスに協力的であったことに言及した。このせいで、ハンナは長年の親友達からも非難され、絶交に近い扱いを受ける。
で、引っかかるのは、一歩引いて眺めると、この映画の構図では、ユダヤ人を迫害したドイツで作られた映画が、物語中のユダヤ人に、ユダヤ人迫害が起きたのはドイツ人が怪物的な悪だったからではなく、ユダヤ人迫害にはユダヤ人も加担していた、と言わせているから。
その主張に間違いはないのだろう。でも、ドイツ映画がそれを言うか、という感想がある。
映画としては生き生きとして面白い。当時のニューヨーク在住のドイツ知識人コミュニティの様子を描いている、というだけでも興味をそそる。はるばるイスラエルを訪れて裁判を傍聴するだけでなく、旧友に再会するシーンや、世間の非難が激しくなってからの、大学での公開講義のシーンも盛り上がる。
これもどこかでもう一度見ないと...
Targi ― 2014年03月30日
久しぶりの「娘といっしょに」シリーズ。
一年ほど前に買って、長らく遊べていなかったゲーム。下の娘が忙しい時期で、気軽に誘えなかったせい。 一度、うちの奥さんとやってみたが、あんまり分かった気がしていなかった。
ようやく、娘の忙しい時期が過ぎたので、二人とも喜び勇んでアグリコラを続けて三回やったら、三回ともなぜか僕が勝ってしまい、「もうやりたくない」と言われてしまった。がーん。
それからしばらくしたある日。ボードゲームの棚を眺めていて Targi に久しぶりに目を留めた。娘に話しかける。
「○○(娘の名)は、ゲーム慣れしてるから大丈夫だよ。」
「じゃぁ、ルール読み返して調べとくから、やってみよう。」
ということで、久しぶりに遊んでもらいました。
ある意味、アグリコラに似たゲームです。自分の番が来たら、3人の家族(このゲームでは手下かな?)を自分がやりたいアクションを表す場所に置いていく、とか、基本的な資源(このゲームでは商品で、ナツメヤシ、コショウ、塩の三種類)を集めて、それを使って進歩カード(このゲームでは部族カード)を買うことで、特別な権利を獲得するとか。
でも、KOSMOS社の二人向けゲームシリーズの一つなので、コンパクトな箱に入っていて、アグリコラのように大きなボードはありません。その代わりに、カードを16枚、長方形の枠を作るように並べることで、ゲーム盤面を作ります。
枠の中には更にカードを縦3枚横3枚、合計9枚置く場所ができます。ここに商品カードや部族カードを山札から引いて並べます。商品カードや部族カードはアクションの結果なくなるので、随時補給すると。
手下の配置方法や、その結果どのアクションが取れるようになるか、に独特のルールがありますが、それは置いといて。
取った進歩カードは持っておくだけではなくて、最大長さ4の列を作るように並べることになっています。進歩カードには5つの種類(泉、ラクダ乗り、オアシス、タルギア=部族の女性、テント)があって、同じ種類のカードだけで長さ4の列ができたら、勝利点4がもらえます。また、4枚とも違う種類のカードからなる列ができたら、勝利点2がもらえます。最大3列しか作れません。列は左から右に伸ばすことしかできず、一度列においたカードは原則他の列に置き換えられません。
この辺はカタンぽいというか。あ、カタンっぽいといえば、盗賊も出ます。
カードに書かれたヤシの木やラクダ乗り、ナツメヤシやコショウなどが、砂漠の民の世界の雰囲気を盛り上げます。
アグリコラに比べれば、カードの種類は限られているのに、勝利点の取り方は随分色々あって、またアグリコラと違って色んなものを満遍なく育てる必要はないので、趣味に走っても大丈夫。食料確保に追われたりすることもありません。焦らず気楽に遊べます。
ここまで書いたら、横から娘が「お金には困るよ」と言うてます。たしかに。貨幣は割合入手しにくい上に、面倒だったりするので、つい、後回しにしがち。そのくせ、商品ではなくて、貨幣がないと買えない部族カード、というのが時々出現します。
で、なぜか手下を配置する際に、部族カードを取るためのコストを考えずに置いてしまって、いそいそ買おうとしたら、「あ、貨幣がない」とかいうことがしばしば。
娘との勝負は、終盤まで奇跡的な同点勝負が続き、最後、娘はオアシス列とテント列を完成させた上、テント2枚に付き勝利点1点などという部族カードでがっぽり稼ぎ、私はろくに列のカードの種類がそろえられないので、商品で直接勝利点購入に走った結果、1点差で娘の勝ち。ブイサイン出して勝ち誇られてしまった。