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トゥルー・グリット2011年03月01日

そんなわけで、ノミネートはたくさんされたものの、オスカーは取れなかったようですが、見所のない映画じゃないと思うのですよ。

と言いつつ、思い出した映画。

クイック&デッド

シャロン・ストーンが出てるだけで嬉しい(鼻の下伸びるシーンも少しあるし)。悪党がとこと悪党で、勝つ強いというのも「そうこなくっちゃ」感あり。ジーン・ハックマンの憎たらしいこと。でハックマンの息子がディカプリオとかシャロンの相方がラッセル・クロウとか後から見るとなんだこれ、というくらいにお得。

あー、実は西部劇、これくらいしか印象に残っているものがありません。あまり見てない。

真昼の決闘とかシェーンとか荒野の七人とか見たことはあるはずなんだけど、子供の頃なので実はあまりちゃんと話の展開が分かってない。あ、アウトローは印象深いな、ソンドラ・ロックが。それ以外覚えてない。

そういうけしからん心構えで見に行くと、ちょっと違うかもしれないですね、トゥルー・グリットは。

英語版トレーラーを横目でみて、「あー、この隻眼のジェフ・ブリッジズが仇役だな、うん、なかなかの憎たらしさだ。アイアンマンの強欲副社長ぶりも記憶に新しい。おお、裁判で弁護士の質問を受けてなんかうそぶいとる。ア・フュー・グッドメンで軍法会議の被告席に座ってトム・クルーズを鼻であしら(おうとし)たジャック・ニコルソンばりに悪党面だ。いいねぇ。」とか勝手に思い込んで見に行くと、ちょっと違うかもしれないですね。

ヘイリー・スタインフェルドのimdbの写真を見て、「お、これはとても14歳とは思えない美人。どんな大人っぽいシーンを演じるのだろう。わくわく」とか鼻の下を伸ばして見に行くと、ちょっと違うかもしれないですね。

河を渡るシーンとか、その後のお尻ぺんぺんとか、小屋の内外で次々起こる撃ち合いとか、4対1の決闘とか、最初から最後まで結構よく記憶に残ってます。マティ=ヘイリーの値段交渉のシーンとか、木からぶら下がったものを下ろすシーンとか、小川でのここで会ったが百年目とかも。きりがないくらい、全部覚えてる。

だから、退屈したわけじゃない。ずぅっと見入ってた。インセプションとかに比べれば、全然途中でだれてない。インセプションは雪山の要塞シーンがだれたなー。

ただ、ヨコシマな期待とか、「あーむしゃくしゃする。何かスカーっとする映画が見てえなぁー」という気持ちは横において、清らかな気持ちで森林浴でもするつもりで見に行くと、楽しめると思います。                              たぶん

で、決闘があるんですが、それがこの映画の終わりじゃないんですよ。そこから先が本筋、本題、コグバーン保安官がトゥルー・グリットの持ち主たる所以なのだ…

って、対決が終わった後にここまで引っ張る話は、「エンダーのゲーム」(映画じゃありません。オーソン・スコット・カードのSF小説です)ぐらいしか思いつかん。

砂漠に雪が降るんだなぁ、とか、誰かが来ると思ったら何時間でも待つんだなぁ、携帯で連絡したりしないんだなぁ(ホンの20年前まで日本でもそうだったよ)とか、誰も風呂に入ってる気配がなくて臭いが凄そうだなぁとか、1880年代の知らない世界を垣間見(たつもりにな)る楽しみはたっぷり。

アンストッパブル2011年03月10日

暴走する列車をデンゼル・ワシントンが止めます。


このタイトルとあらすじを聞いて、「なーんか『スピード』の焼き直しみたいな映画だなぁ」と思った人がいたら、私と同じです。が、考え直した方がいい。予想をはるかに超えて面白かった。


   アンストッパブル Unstoppable


いや、「スピード」は面白かった。けなすつもりは全くない。ただ、あれと同じだと思って、こっちを見ないのはとても間違い。


ほとんど実話 ペンシルバニア州を走るAVWR-777という列車が猛毒の液体フェノールを満載したまま運転手なしに全速力で市街地を含む広い区間を暴走する、というのが映画の設定なのだけど、元の 実話 もほとんど変わらず、オハイオ州を走るCSX-8888という列車が(以下同文)というすさまじさ。


列車の番号から、この事件は Crazy Eights 事件とも呼ばれている、とあり、思わずキル・ビルのクレイジー88も思い出さずにはいられない。


設定だけでなく、誰がどうやって止めたかもほぼ実話のまま。本当にヒーローがいたわけね。


フェノールの毒性 下記ページによると、
Occupational Safety and Health Guideline for Phenol
32才の男性が頭から濃いフェノールをかぶって10分後に死亡した、とか、1gを経口摂取すると死亡しうる、だとか、中枢神経や肝臓や腎臓に害があるだとか、まぁ色々書いてあります。これを満載した列車が市街地を暴走したってのがヒドイ。


止まらなさが桁違い 「スピード」は路線バスが時速88kmを切ると爆発するよう仕掛けられて止まれなくなる話だったのに対し、こっちは、半マイル(1km弱)もの長さの列車が無人でフルスロットルで走り、時速114kmにも達するという設定。実話の方も、47両の貨車が時速82kmとありますね。なので、速度はほぼ同じとしても、バスの長さは10m前後ですから、仮にバス1台と列車1両を同じ重さとすると、50~80倍重いわけです。で、重さ≒止まらなさですからね。


色恋沙汰なし 主人公は機関士と車掌の男性二人。他に、なんていうのかな、運行監視室みたいなところの室長らしき女性が活躍しますが、この人と主人公達は映画の最後まで直接会うことがありません。あと出てくる女性といえば、機関士の娘二人(二人とも Hooters で働いてる!)と、車掌の奥さん (故あって別居中)ぐらい。事態が事態なのでいちゃいちゃする暇があるはずもないのだった。


デンゼル・ワシントンがじいさんに 実は、あんまりデンゼル・ワシントンの映画ってみていなくって、むかーし、「ボーン・コレクター」のリンカーン・ライム役を見たくらい。アンジェリーナ・ジョリーがまだ新人として出てたころだからとても昔。で、精悍な青年のイメージが残っていたもので、最初彼が出てきても分からなかったのでした(ついこないだハリソン・フォードについても同じことを書いたなぁ)。彼が経験豊富な定年間近の機関士です。


暴走にはクリス・パイン=カーク船長がよく似合う 一方、役職上は車掌=デンゼルの上司ながらも経験の浅い新入社員をクリス・パインがやってます。スター・トレック以外で彼を見るのは初めて。最新のスター・トレックで疾走感あふれるカーク船長をやったクリス・パインが暴走列車を追うのはとても似合ってました。


まぁ、他にも無能な上司が立てる対応策とか、一歩間違うと大災害になるところだった警察の作戦とか、すこーし人的ドラマも入れてますが、一番の主役は、半マイル列車の圧倒的な運動量でした。


暴走が始まる前のやり取りから、列車とか鉄道って自動車とは違い、走り出すのも止まるのも自由が利かないことがひしひしと伝わってきます。すべてにおいて指差し確認が求められるのも当然。


どのくらい興行成績があったのか知りませんが、評判がよかったからと言って、まさかとは思うけど、続編作ったら怒るからな。でも、ないとは言い切れない。アンストッパブルだけに。


石油を満載した超大型タンカーがソマリア沖で海賊に襲われ、交戦後船員と海賊の双方が全員死亡、タンカーは全速力でスエズ運河に突っ込む… とか作って「スピード2」並みの大コケをするなら見てみたい。いやその映画はみないけど。

311地震をドイツから見守る2011年03月14日

うち(単身赴任で日本に残してきた家族)は無事。ともかく今の所。神奈川県だし。

毎朝、日本とスカイプ (Skype) で家族と連絡を取っている。日本時間で午後2時半から3時頃にかけて。そうしたら金曜の朝、まさにスカイプ中に地震が来た。

ビデオ付きなので揺れてる様子が分かる。尋常でなく長く揺れているのも分かる。妻と子供達は閉じ込めを恐れて家の外へ逃げた。私とスカイプ中のPCは家の中に置いたまま。映像が震えている。壁に掛けたカレンダーが揺れている。ガチャガチャと音がする。今考えると食器棚の食器の音だろうか。

とりあえず収まって、家族が3人とも無事なのをスカイプビデオ越しに見て、すっかり安心して会社に行く。夜9時ごろに家に帰ってネットを眺めると、原発のニュースがたくさん出ていて、急に心配になる。日本でいうと土曜の朝5時から7時くらいにかけて、ネットにかじりついて日本の情報を見る。 Ustream でNHKを流してくれていた人たちに感謝します。 KeyHoleTV も役に立った。 Twitter を見ると、何度も余震が来ている様子が分かる。「あ、また揺れた」というツイートが流れるので。

スカイプも Ustream も本当に画像がきれい。かつこんなときでも途切れない。 KeyHoleTV は元々そんなに絵がきれいではなくて、しかも、アプリ起動時のログインを受け付けるサーバが重くなったらしく、何度かログインが失敗した。

こっちの23時過ぎ、日本の朝に妻とまたスカイプで話して寝る。が、4時過ぎに起きて、ネットを眺めたら、すっかり目が覚めてしまい、ネットにかじりつく。福島原発のニュースをずっと追いかける。

NHK に出ていた専門家の先生が交代している。さっきまでの先生は地震・津波の専門家で、今度の先生は原発の専門家ってことか。

Ustream で NHKを、TBS は TBS のサイトで、 KeyHoleTV で日テレを見る。 複数チャネル受信していても、どれも映像はきれい。

Twitter をずっと見ていると、出元の怪しい情報が流れる。しばらくすると、「…はデマです」という情報も流れる。落ち着いて、脊髄反射しなければ、デマはデマと分かる。それ以上に有用な情報が早く流れるので、 Twitter はとても有用。適宜情報を拾って、スカイプで妻に連絡する。

節電、自粛、不謹慎、日本人すごい、海外から賞賛の声。おかしな空気が Twitter にもネットにも満ちる。

節電は、日曜になって具体的に足りない量が判明し、かつ輪番停電=計画停電が発表される。さらに、関東と東北以外で節電してもなぜ役に立たないか、を具体的に説明したサイトが現れる。

自粛、不謹慎については、日曜になって、そういうのやめようよ、という論調が目立ち始める。これとか、これとか。少なくとも、自粛ムード一色にならないだけの多様性はあるようだ。
不謹慎を言い募る人たちにどこまで届いているのかは分からない。

日本人すごいのはいいのだが、日本人以外もすごい。

日本の土曜日の17:00すぎになって初めて、福島第一原発で爆発が15:30頃に起きていた、というニュースが流れ、一気に不信感が湧く。情報の公表が遅いのは、なんらかの調整をしているからとしか思えない。ということは、出てない情報もある可能性が高い、と考えて、初めて確定ニュースに基づかない、憶測で、妻に「危ないかも」ということを言う。日本の20:00頃に、あれは水素爆発で原子炉本体は無事、海水ぶち込みを決定、というニュースが流れて、あせりがかなり取れる。

この頃、自分で Twitter に何か書こうという気がまるで起きない。普段から自分の身の回りのことしか書かないが、この状況でドイツで昼飯に何を食ったということを書く気にはなれなかった。逆に、何か役に立つことを書こうとしても、確かな情報が手元に何もない。ひとのツイートを見て、時々有用と思われるものをリツイートだけしていた。非公式リツイートの害、を今回改めてとあるサイトで読んで、納得し、震災関係の情報だけは公式リツイートのみで扱うことにした。もっと落ち着いたら、気楽なツイートはやっぱり RT すると思う。

土曜の午後、日本はもう深夜になり、日本の家族も寝てしまったので、買い物がてら街に出る。ハイデルベルクは、もう言い訳の余地がないほど春。「春になったらジョギングを再開する」と言い続けていたのだが、そろそろ始めないとまずい。ハウプトシュトラーセは渋谷並みの人混み。逆に家電量販店内は閑散。

日曜の朝、延々12時間寝て、日本からの電話で起こされる。日本は計画停電が発表されている。グループ分けやスケジュール情報がなかなか出てこない。出てきたと思ったら、なぜか昔の FAX のような歪んだ画像の PDF。紙資料をスキャンしたものなのか?内容はまっとうなので、多分本物なのだけど… 東電のサイトは重くて見られない。 そのうち、地名の表記に間違いがあるので訂正版が出る、らしい、という情報が流れ始める。それと前後して、毎日新聞のサイトに、歪んだ画像 を元にしたらしい、テキストデータになった情報が掲載される。訂正版ともなんとも書いてないので、最新データなのかどうか分からない。歪んだ画像によれば、うちは、複数グループに載っている。

しばし、やきもきしていると、きれいにフォーマットされた PDF へのリンクがツイートされ始めた。東電サイトの URLもあり、これは信用してよかろうと判断する。これで、うちは一つのグループに確定した。が、うちの親の家の住所の地名については、複数行の記載があり、つまりどのグループになるか分からない。東電のトップページは相変わらず重くてみられない。同じ東電サイトでも PDF は問題なくダウンロードできるのに。トップページには、普段ネットをあまり見ない人も含めたアクセスが集中しているのだろうと想像。

日本とドイツで遠く離れていても、スカイプでビデオ付きでつなぎっぱなしにでき、同じNHKを見ながらあーだこーだ家族と話ができるのはとても助かる。スカイプごしに聞こえる地デジ NHK の音声と、 Ustream の NHK 音声では、後者の方が3秒ほど遅れてました。

日本での今後の生活を手伝えないのは心配だけど… すでにうちは近所のスーパーやコンビニでの買い物競争には出遅れた。まぁ、日本に居ても思いつかなかったかもしれない。

Neckar 川沿いの緑地2011年03月14日

木片で遊ぶ人々


日本の被災地の状況を考えると恐ろしいが、ハイデルベルクにはのどかな春が来ている。今日の天気は曇りで、雨も少し降りかかっていたが、Neckar 川沿いの緑地には子供連れや老夫婦がたくさん来ていた。


上の写真は、木片を並べて何かのゲームをする人たち。離れたところから木片を投げて、別の木片にぶつけていた。



緑地のパノラマ。夏にお祭りがあると、人で一杯になるが、今日はのどか。


川岸の落書き


対岸には大きな落書きで "Heidelberg" と書いてある。


川岸の遊歩道


緑地をはさんで川の反対側には遊歩道。


下流から見たハイデルベルク


Theodor-Heuss 橋よりさらに下流の Ernst-Walz 橋から上流を望む。空気は湿って、濃い春の匂いがしていた。


ハイデルベルクでクラシックカー祭り2011年03月19日

日本は震災から1週間が経つが、東北の被災地の救援はまだ真っ最中だし、首都圏も停電や原発で落ち着かないと思う。が、いつまでも緊張していられないので、気持ちを切り替えて、楽しげな記事を書く。

Uni-platzを出発するオールドタイマー

1901年の3月31日、当時の先端技術だった自動車で、ハイデルベルクの裏山であるKönigstuhl ケーニヒシュトゥールに登る「レース」 "Bergrennen Königstuhl" が初めて行われたそうだ。それを記念して、110年後の今日、オールドタイマー車が集まって、やはりケーニヒシュトゥールに出発した。上の写真は Uni-platz 大学広場から出発する様子。

今なら、制限時間1時間の間に何往復もできるコースだが、110年前は、貧弱な馬力や、パンクしやすいタイヤなどのせいで、制限時間内に登りきるのは相当なチャンレジだったそうだ。この辺の情報は、地元新聞 Rein-Neckar Zeitung の先週土日号の記事から。

大学広場に集まる車

大学広場で出発を待つ車。実は、このイベントに気がついたのが遅くて、私が大学広場についたときには出発はとうに始まっており、写真の車は最後尾に近い。

出発ゲートで紹介を受ける車

イベントの趣旨はレースではなくて、古い車でまったり走ろう、なので、タイムを競うでもなく、1台ずつ、出発ゲートで車の由来を紹介された後に出発する。

出発待ちの車列

クラシックカーイベントは多い。気がついただけでも、ハイデルベルク近郊で年に3,4回やってる。そんなに関心なかったんだけど、だんだんいいなぁと思うようになった。こういうの、甥っ子が好きなんじゃないかな。