Intouchables ― 2012年03月11日
最初から最後まで暖かい春風に吹かれているような気分。
Intouchables (邦題: 最強のふたり)
フランス映画なので、ドイツではドイツ語かフランス語でしか見られない。ドイツ語の方がかすかに分かるのでドイツ語で見た。
片や大富豪。大邸宅に、娘と、何人もの住み込みの使用人を置いて暮らしている。
片や貧しい若者。同じ境遇の人たちが集まるアパートに帰れば、歳の離れたのを含めてやたら兄弟がたくさんいる。母親に顔を合わせるのは久しぶりらしく、口論の末、出てけ、と言われてしまう。
この二人が Ziemlich best Freunde= なんだか最高の友達 (ドイツ語タイトル)になる話。
大富豪は、首から下が麻痺して一ミリも動かない。あれだ、スーパーマン俳優のクリストファー・リーブと同じ。若者は、介護役として雇われたのだ。
なんで彼が雇われたのか、セリフが聞き取れないので分からない。応募者は何人もいて、順番に面接してた。若者は他の人の順場に割り込んで面接を受けるし、「おかけください」と言われても座らないし、かと思うと次の瞬間座ってるし、最初から型破り。でも、結局彼が採用された。
次の日、彼が大邸宅に来ると、彼がすむための部屋に案内される。これがめちゃめちゃゴージャス。バスルームなんか、部屋の真ん中にデコデコした浴槽が置かれている。使用人の部屋がだよ。
そういう大富豪で、数百万円の現代絵画をひょいと買って、クラシックが好きで、オペラも見に行くけれど、小さな室内楽団をやとって自宅で?自分のために演奏させてしまえる身分。でも首から下は動かない。
そんな大富豪が必要としていたのは、「新鮮な空気」だったらしい。若者は、現代絵画もクラシックも知らないけれど、何が楽しいかは知ってる。車に乗るなら、車椅子ごと載せられるボックスカーなんかじゃなくて、スポーツカーで走ろうよ。大富豪は凄いスポーツカーも持っていたのに乗ってなかったのだ。若者は大富豪を助手席に乗せて、夜のハイウェイを猛スピードで走る。パトカーが集まってくるほどに。この後の顛末がケッサクだったのだけど、それは見てのお楽しみ。
若者は大富豪を夜の街の散歩にも連れ出す。車椅子を押して。「この時間のパリの街を見たのは久しぶりだ。」
若者が行き付けのマッサージ屋にも連れて行く。大富豪は、物理療法なら毎日家で受けてるが、若い女の子に背中や首筋や耳をマッサージしてもらうのはまた格別。あ、別に怪しい店じゃない。あくまでマッサージ屋。
大富豪はなんだか口述筆記で詩を書かせて、誰かにせっせと送っている。ラブレターらしい。もう6ヶ月もそうしている。「え、なんか返事きてるじゃん、電話番号も分かってるんでしょ、なんで電話しないの、俺がかけてやるよ、ほらつながったよ。」心の準備がーという間もなく、直接話す大富豪。あれ、なんだか会えることになったらしい。
こんな感じで、大富豪の気分はどんどん晴れていく。映画を見てる観客の気分も良くなっていく。
ところが。と、よくある映画なら、ここでストーリーが暗転するよね。絶対する。場違いで物知らずな若者に眉をひそめる古参の使用人、とか、楽しく踊る若者を見て、動かない自分の体への絶望を深める大富豪、とか、貧困にあえぐ若者の家族に事故が、とか。
しません。この映画はまったく深刻な話をしません。それでいて、心地よいけれどぬるい映画にはなっていません。
この映画は実話なんだそうです。エンドクレジットで、本人達の姿が映ります。
大富豪の障害も、若者とその家族の貧困も、この二人の大きな社会的格差も、ぜんぶ本当にあることだから、その二人が出会って打ち解けただけで、充分にドラマッチックなんだと思います。
今日これを見たのは Die Kamera という Heidelberg 市内の映画館。家からも近い。ハリウッド映画じゃなくてヨーロッパの映画を上映する小さな映画館。客層はお年寄りか家族連れ。いつものシネコンと大違い。で、なんと満席だった。大人気。上映時間の3時間前にチケット買っといてよかった。
Intouchables (邦題: 最強のふたり)
フランス映画なので、ドイツではドイツ語かフランス語でしか見られない。ドイツ語の方がかすかに分かるのでドイツ語で見た。
片や大富豪。大邸宅に、娘と、何人もの住み込みの使用人を置いて暮らしている。
片や貧しい若者。同じ境遇の人たちが集まるアパートに帰れば、歳の離れたのを含めてやたら兄弟がたくさんいる。母親に顔を合わせるのは久しぶりらしく、口論の末、出てけ、と言われてしまう。
この二人が Ziemlich best Freunde= なんだか最高の友達 (ドイツ語タイトル)になる話。
大富豪は、首から下が麻痺して一ミリも動かない。あれだ、スーパーマン俳優のクリストファー・リーブと同じ。若者は、介護役として雇われたのだ。
なんで彼が雇われたのか、セリフが聞き取れないので分からない。応募者は何人もいて、順番に面接してた。若者は他の人の順場に割り込んで面接を受けるし、「おかけください」と言われても座らないし、かと思うと次の瞬間座ってるし、最初から型破り。でも、結局彼が採用された。
次の日、彼が大邸宅に来ると、彼がすむための部屋に案内される。これがめちゃめちゃゴージャス。バスルームなんか、部屋の真ん中にデコデコした浴槽が置かれている。使用人の部屋がだよ。
そういう大富豪で、数百万円の現代絵画をひょいと買って、クラシックが好きで、オペラも見に行くけれど、小さな室内楽団をやとって自宅で?自分のために演奏させてしまえる身分。でも首から下は動かない。
そんな大富豪が必要としていたのは、「新鮮な空気」だったらしい。若者は、現代絵画もクラシックも知らないけれど、何が楽しいかは知ってる。車に乗るなら、車椅子ごと載せられるボックスカーなんかじゃなくて、スポーツカーで走ろうよ。大富豪は凄いスポーツカーも持っていたのに乗ってなかったのだ。若者は大富豪を助手席に乗せて、夜のハイウェイを猛スピードで走る。パトカーが集まってくるほどに。この後の顛末がケッサクだったのだけど、それは見てのお楽しみ。
若者は大富豪を夜の街の散歩にも連れ出す。車椅子を押して。「この時間のパリの街を見たのは久しぶりだ。」
若者が行き付けのマッサージ屋にも連れて行く。大富豪は、物理療法なら毎日家で受けてるが、若い女の子に背中や首筋や耳をマッサージしてもらうのはまた格別。あ、別に怪しい店じゃない。あくまでマッサージ屋。
大富豪はなんだか口述筆記で詩を書かせて、誰かにせっせと送っている。ラブレターらしい。もう6ヶ月もそうしている。「え、なんか返事きてるじゃん、電話番号も分かってるんでしょ、なんで電話しないの、俺がかけてやるよ、ほらつながったよ。」心の準備がーという間もなく、直接話す大富豪。あれ、なんだか会えることになったらしい。
こんな感じで、大富豪の気分はどんどん晴れていく。映画を見てる観客の気分も良くなっていく。
ところが。と、よくある映画なら、ここでストーリーが暗転するよね。絶対する。場違いで物知らずな若者に眉をひそめる古参の使用人、とか、楽しく踊る若者を見て、動かない自分の体への絶望を深める大富豪、とか、貧困にあえぐ若者の家族に事故が、とか。
しません。この映画はまったく深刻な話をしません。それでいて、心地よいけれどぬるい映画にはなっていません。
この映画は実話なんだそうです。エンドクレジットで、本人達の姿が映ります。
大富豪の障害も、若者とその家族の貧困も、この二人の大きな社会的格差も、ぜんぶ本当にあることだから、その二人が出会って打ち解けただけで、充分にドラマッチックなんだと思います。
今日これを見たのは Die Kamera という Heidelberg 市内の映画館。家からも近い。ハリウッド映画じゃなくてヨーロッパの映画を上映する小さな映画館。客層はお年寄りか家族連れ。いつものシネコンと大違い。で、なんと満席だった。大人気。上映時間の3時間前にチケット買っといてよかった。
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