膝の痛みが筋トレで治った ― 2016年02月06日
しばらく前から走るのが好きになって、毎週末走っていたのだけど、去年の秋から、左膝が痛むようになった。11月ぐらいかな。寒くなってからだ。痛いのは膝の中のようでもあり、膝の下のようでもある。
最初は走るときに気になる、ぐらいだったのが、そのうち駅の階段を下りるときにも痛むようになった。その場合痛いのは、はっきり膝の下、足の前側。左足に体重をかけたりしても痛まない。むしろ体重を抜くときに痛かったように思う。
で、とうとう走れなくなった。ちょっと走りかけるとてきめんに膝回りが痛い、という状態になってしまった。
整形外科に行ってみた。診察台に横になって、お医者さんが膝の回りをいろいろ押さえて「ここは痛みますか?」と聞く。でも、どこも痛くない。「ここはどうですか?」とあちこち聞かれるのだが、痛くないのでそう答えるしかない。だんだん申し訳なくなってきた。
レントゲンも撮ってもらったのだけど、特に異常はなかったらしい。シップ薬を処方してもらって、しばらく膝の下、前側に張ってみた。効いたような効かないような。駅の階段を降りるときの痛みは減ったけど、小走りするだけで痛いのは変わらない。
ちょうどその頃、なんとなく買ったのがこの本。
マラソンは最小限の練習で速くなる!忙しい人の自己ベスト更新術 中野ジェームズ修一 ソフトバンク新書
この本のハイライトは、後半にある筋トレのメニュー。全部こなすと、フルマラソンを走るのに匹敵する、とか書いてある。ただし、膝への負担は最小限なんだそうだ。
どうせ足が痛くて走りにいけないので、筋トレでもするか、と思ってやってみた。下の娘も誘って、二人で並んでやってみる。
この筋トレのメニュー、最初から最後まで、全部太ももの筋肉に負荷がかかるようになっている。最初は空気椅子。次は足を前後に開いて前足に体重かけながらゆっくり上下する。次はその姿勢を左足の膝が地面に付きそうになるくらい深くして、やっぱりゆっくり上下。もっとあるのだけど、みんな太ももに来る。これをインターバルを入れながら、なんども繰り返す。
全部で2ページに渡るコースが書かれているが、とてもじゃないが1ページ終われない。1ページの真ん中あたりでも立っていられなくなってギブアップ。娘も同じとこでやめた。
最初にやった週は、そのあと一週間ずっとめちゃくちゃ筋肉痛になった。ももももちろん痛かったが、お尻の筋肉も痛い。お尻の頬っぺたをわしづかみにすると、筋肉痛の塊に指がぶつかる感じ。しかし、あちこち痛い分、膝の痛みは目立たなくなった。心なしか階段を下りるのも楽になったような。
娘も多少筋肉痛になったようだが、僕ほど騒いでなかった。若さって素晴らしい。
二週目も娘と一緒にやった。同じところでギブアップ。でも先週より余裕ある。
その週は筋肉痛が来るか来るかと待ち構えていたが、結局来なかった。負荷のかけ方が甘かったか。
そして膝の痛みはその週の後半にすっかり消えた。今日は久しぶりに走ってきた。左足には全く痛みも不安もなし。右足がちょっと微妙だったかな?
まぁ、形成外科的な痛みは、治らないときは何しても治らないのに、しばらく時間がたつといつの間にか治っていることがある。この五年間で四十肩に二度なったのだけど、二度ともそんな感じだった。膝も、筋トレをした頃がたまたま治るタイミングだったのかもしれない。
とにかく、膝が治って、また安心して走れるようになって嬉しい。膝が痛くなる前はタイムも低迷してたのだけど、よくなってたし。
あとは娘が一緒に走ってくれると嬉しいんだけど、お父さんと一緒に走るのは微妙みたいだ。先々週は一度一緒に走ったのだけど、駅に近い方に行くと知り合いに見られそうでやだ、という。先週は筋トレだけ一緒にやった。明日は駅から遠い側に走りにいこうよ。
永遠の始まり ― 2016年02月07日
翻訳が出るのを待ち続けていた本。やっと出て嬉しいのだけど、まだ4巻組のIとIIしか出ていない。IIIとIVが出るのは今月末。待ちは続くよ。
ケン・フォレットの歴史物は好きで、 大聖堂 とその 続編 、20世紀のシリーズの 一作目 と 二作目 、とずっと読んできた。この本は20世紀シリーズの三作目。これまでのも好きだったが、今回はとりわけ夢中になって読んだ。待たされたからかもしれない。
前作は第二次大戦中の話で、全体のトーンが暗くてややつらかった。邦訳の題名が「凍てつく世界」だからね。その通りの内容だった。それに比べると、今作は戦後の話で、明るい。もちろん、東西冷戦やベルリンの壁、公民権運動やキューバ危機など、苦しみは世界に数多あったのだけど、でもやはり1960年代の明るさは伝わってくる。
歴史に詳しいわけでもないけど、今回読んで初めて知ったのは、米国公民権運動におけるフリーダムライド。1960年代にして、まだ黒人はこんなに迫害されていたのか、と思う。
それからリンドン・ジョンソン大統領の描かれ方がちょっと意外だった。ケネディの後に出てきたパッとしない大統領ぐらいにしか思っていなかったので、活躍ぶりが意外。でも彼が活躍し始めるのはIIの最後なので、IIIやIVではどうなるか、まだ読んでいないのでわからない。楽しみ。
歴史上の人物が登場して、公的な場面だけでなくプライベートなシーンでもセリフを語るので、どこからどこまで史実に沿っているかはよく分からない。ただ、そのままではなくても、少なくとも似たイベントはあったのだろう。
このシリーズで一つ困るのが、やたら18禁シーンが多いこと。歴史的事実を語るのに外せないシーンもあれば、それほど必然性のないシーンも多い。どっちにせよ、それが多いので、娘たちには勧めにくい。大聖堂以来、どの話でもその手のシーンが多い。主人公たちが幸せにキャッキャウフフしててくれればまだしも、悲惨なシーンも多いので、鼻の下も伸びない。
とても読みやすい訳。一つだけ気になってしまうのは、ドイツ語の音のカタカナ表記。「シュトラッセ」とか「ワルター」とかごく一部だけど。まぁロシア語とかの表記も違うのかもしれないけど、僕には分からないから気にならないので、ドイツ語もどうでもいいっちゃいい。
これまでのケン・フォレットの本は、いつも出たらいそいそと読んで、それからすぐ古本屋に売り払ってた。すごく面白いのだけど、あまり愛着が湧かなかったので。今回のは初めて、手元に置いておきたい気がした。さらにいうと、前の本をもう一度読み返したい気がしてきた。大聖堂も含めて。
オデッセイ ― 2016年02月08日
ステロイドでドーピングしたアポロ13。あっちが好きな人はこっちも是非。アポロ13知らない人にもおすすめ。
The Martian (邦題: オデッセイ)
原作 The Martian (邦題: 火星の人)
うちの奥さんと二人で見てきました。IMAX 3D。奥さんによれば「あんまり3Dにした甲斐がなかった」そうですが、僕は広大な火星の風景をIMAX 3Dで見られてよかったなぁ。
火星の大平原を進むローバーは、西部の荒野を進む幌馬車のよう。アメリカ人なら胸にこみ上げるものがありそう。
かなり原作に忠実で、登場人物たちが交わすセリフの中の割合細かいジョークも再現されていた。しかし、彼らのジョークのスタイルはきわど過ぎて、ちょっとついていけない。火星にワトニーを置き去りにしたチームのメンバーが、数ヶ月ぶりにワトニーと交信するときのセリフが、「置き去りにしてすまない。でもみんな君のことが嫌いだったんだよ。」これが言えるぐらい仲が良かったってことなんだろうけど。
映画では臭いがしないのが残念、というか、しなくてよかったのかもしれない。畑の肥やしを準備するシーンや、何ヶ月もシャワーなしに過ごした後のシーンがある。原作を読んだ時には、結構むせそうな濃厚な気体が襲ってくる印象があった。でも、映画では、どちらのシーンも描かれていたけど、控えめな表現でした。
映画も原作もどちらもいいのだけど、良さはそれぞれ違う気がする。
原作の良さは、分かりやすい語り口。難しい科学的なあれやこれやの発想を、驚くほどとっつきやすく説明している。映画の方は、原作のおかげでその辺かなり得をしているけど、原作のわかりやすさには及ばない。原作ではワトニーが書いた日誌の文章に書いてあることが、映画では、ワトニーがカメラに向かって一人で語っている。それも業務日誌なんだけど、やはりあまり細かいことを語るシーンにすると、映画として無理が出てくる。
また、原作には、「一度に一つずつだ」というセリフが何度もでてくる。これは、困難に立ち向かう上でも、有効な考え方だろうけれど、実は小説の読者に向かって込み入った話を説明する上でも、一度に一つずつの方が都合がよかったんだと思う。
じゃあ映画の良さは、というと、火星の風景と、宇宙船ヘルメスの造形。
進んでも進んでも景色が変わらなそうな火星の広大さは原作を読んでも感じられたのだけど、ある地点から見渡した時の火星の印象は、原作を読んでいても想像しきれなかった。映画の中の火星の景色は気が遠くなりそうだった。かつて火星に送り込まれた無人探査船パスファインダーをワトニーが探しにいくシーンがある。原作だと、パスファインダーを見つけるシーンはあっさりしていて、見つけた後でワトニーがあれこれ語っているのだが、映画では、パスファインダーがあるはずの地点にワトニーが来ても、見渡す限り何もない。絶望的な広さが強く印象に残る。
ヘルメスは本体の回りに回転する居住区があって、遠心力で疑似重力を作り出している。SFでは珍しくもない仕組みだが、原作を読んだときには、そもそもそういう設定に気が付かなった。映画の中では、本体と回転居住区の間の接合部のシーンが何度も出てくる。船内も、船外からのシーンも。船内では宇宙飛行士たちが無重力の本体を漂ってきて、重力がある居住区につながる「縦穴」に飛び込むと、そこにははしごがあって、その両脇に手を添えてするすると滑り降りていく。火事の知らせを受けて、出動のために消防署のポールを滑り降りる消防士さながら。船外では、ヘルメスの表面の構造につかまりながら船首から船尾まで行こうとする宇宙飛行士が、回転居住区のスポークの隙間をタイミングを計って潜り抜けるシーンがある。
マット・デイモンはワトニー役がよく似合ってました。最初にこの配役を聞いたときは合わないとおもったのだけど。だって、植物学者の宇宙飛行士と聞いて、あんなマッチョな人物を想像しないでしょ?でも、映画を見ると、あのくらい体力がないと、畑の世話もローバーの改造もできないなぁと納得したのだった。
船長ルイス役の人はどこかでみたような気がするのだけど、調べたかぎりでは実は見てなかった。Rome の セルウィリアとか、SHERLOCK シーズン3でマグヌッセンに脅迫される議員とかをやってた Lindsay Duncan って人に似てますが、歳が違いますね。この人は Jessica Chastain てのか。最近いろいろよさげな映画に出てます。見てみなきゃ。
中国はこの話ではおいしい役どころ。救出計画が失敗して悲嘆にくれるNASAに力強い手を差し伸べる白馬の騎士。日本はまったく出番なかったな。
とある行為が原因で、「この仕事が終わったら辞任してもらう」と言われていた人は、すべてが終わった後で、辞めずにすんだのかな。最後のシーンをちゃんと見てれば分かったと思うのだけど、見逃したなぁ。
あ、そうそう、エンドクレジットみてたら、見慣れない綴りの名前が大量にあった。東ヨーロッパ系だと思うのだけど、それはもうたくさん。一番最後に、ハンガリーの何とかという組織に謝辞があったので、ハンガリーなのかもしれない。たぶん、スペシャルエフェクツ関係のチームかな?